内容説明
介山・紅葉・乱歩から遼太郎・寛之・清張へ。大衆文学の豊饒な遺産。その全体像をジャンル(時代小説、現代小説、探偵・推理小説)に分け、パノラマ的に提示する本格的通史と、テーマ研究、媒体との関係、作家の地位、読者論などの理論的アプローチから成る最良の見取り図。
目次
第1章 大衆文学の歴史
第2章 大衆文学のテーマ的研究
第3章 大衆文学の媒体
第4章 大衆文学作家の地位と機能
第5章 大衆的読者の意思表示
結論 大衆文学に関するいくつかの理論的展望
感想・レビュー
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つまみ食い
4
もととなった著者の博士論文から約40年が経つが、いまだに類書が少なく希少な日本の大衆文学の通史と概論と考えられる。既に古くなった箇所(1980年代のメディア状況で止まっているなど)や粗削りな箇所もあるが、大衆小説の設定や人物の類型学などの試みは興味深い。やや孫引きの多さが気になるが、フランスで日本の大衆小説論をやる資料的制約などを想像すると致し方のない点か。2023/02/01
fantamys
0
「大衆文学」をめぐる、日本の文壇・読者の変遷と、その特質。2015/06/30
Genei-John
0
フランスで刊行された、日本の大衆文学論というので、話のタネに読んでみたら、日本でも見かけたことがなかった本格的な大衆文学概論だったので、驚いた。ほのかに見られる外部ならではの視点に刺激を受ける。2013/11/03