内容説明
芸術を通して世界から大地へ―後期思想への転回を示す記念碑的作品。
目次
芸術作品の根源(物と作品;作品と真理;真理と芸術)
導入のために(ハンス=ゲオルグ・ガダマー)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
D.Okada
4
「芸術作品の根源、すなわち同時に、或る民族の歴史的現存在を意味する、創作し見守る者たちの根源は、芸術なのである。そうであるのは、芸術がその本質において根源的だから、つまり真理が存在するようになり、歴史的になる或る卓越した在り方だからである」2010/11/30
ビタミンちゃん
0
ハイデッガーの思索の過程はもはや詩-dichtungである。存在seinとは何かというハイデッガーの模索が、見事に芸術に於ける作品存在とは何かという文脈で語られている。ハイデッガーは最後まで真理という言葉を用いない。ハイデッガーに於ける真理は客観的普遍性のある真理としてではなく、不伏蔵性という言葉で新しく語られる。 道具の道具的存在についての深い示唆が印象的。 珈琲片手にボードリヤールの「物の体系」と合わせて読むのが最近発見した最高の贅沢になりつつある。2014/12/18
あ
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真理を作品の内へと据えるものとして芸術作品があり、真理は不伏蔵のものとして発現される。 ゴッホの「農夫の靴」から辿る[モノ]の考察からはじまり、道具存在の論考につながる。 終始つくる事がトピックとしてあるので、つくらないという事も同時に考えてみたい。2014/11/02
Rei Kagitani
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やや古い芸術観のようにも思えるが、ガダマーの解釈のせいもあるかもしれない。未来志向をどう読み取るかは難しいところ。2014/01/29