内容説明
大量消費社会における「表象」を徹底的に批判し、新しい現実の構築、トータルな生の実現を求めてやまぬ、幻の政治、文化運動の全貌が初めて明らかになる。シチュアシオニスムとは何か。不撓のモダニスト、不屈のアヴァンギャルディスト。ドゥボールの思考に、やっと時代が追いついた。同運動の歴史を詳説する力作訳者解題を付載。
感想・レビュー
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いたま
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20世紀中頃にフランスで活躍したシチュアショニストであるドゥボールの情報化する後期資本主義社会を分析した著作。といっても、アフォリズムの集成であり、一貫した体系的理論が述べられているわけではなく(というのも体制的な全体主義を避けるたけだという)、何をそこから見出すかは読者に委ねられている。具体的な生産の過程から切り離されたモノの記号的側面が圧倒的となった現代の社会を「スペクタクルの社会」と定義して分析し如何に反抗するのかを模索している。マルクス主義的な政治理論の話が強い部分は少し辟易する。2021/06/11