出版社内容情報
江戸中期、マラ棒を手に猥談・軍談を語る、団十郎と人気を二分した講釈師がいた。源内の師でもあった怪僧の知られざる生涯に迫る。
内容説明
時は江戸中期。浅草寺境内に葭簀張りの席をもうけ、絶妙な軍談と過激なフリートークで、観客を大いに沸かせた講釈師がいた。その名は深井志道軒―。奇っ怪な棒を片手に、身振り手振りのパフォーマンスを交え、公儀をもおそれぬ当世批判と、人前はばからぬ猥談を繰り広げる。そのスタイルは“狂講”と呼ばれ、二世市川団十郎と天下の人気を二分したというのも、まんざら嘘ではない。数多く残された文献と画像資料により、鬼才・平賀源内が師と仰いだ、その伝説的な話芸と破天荒な生涯を探る。
目次
第1章 花の巻(プロフィール―お定まりの文献を三つ;姓氏名号、出自、生歿年考 ほか)
第2章 紅の巻(金龍道人の『志道軒伝』―公式の漢文伝;稀有の実見記録―福山長寿のルポ ほか)
第3章 柳の巻(大田南畝と志道軒;山東京伝と志道軒 ほか)
第4章 緑の巻(二つの漢文伝―依田学海・蒲生〓(けい)亭
星野天知の評論「狂僧、志道軒」 ほか)
著者等紹介
斎田作楽[サイタサクラ]
1941年、福岡県生まれ。満州引揚者。熊本県立熊本高等学校、明治大学商学部卒業。出版社勤務を経て、1978年に出版社太平書屋を創立。江戸明治の漢詩文研究雑誌『太平詩文』主宰(既刊62号)。第1回岩瀬弥助記念書物文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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onasu
21
江戸中期、8代将軍吉宗が隠退して、田沼が台頭してくるくらいまで。浅草寺の境内で、軍談の講釈に交えて、当世批判や猥談までフリートークしちまう大人気講釈師がいた。 その志道軒で先ずはと言えば、男根型の棒でトトントンと拍子を打ちながら、という講釈スタイル。そして、坊主と女が覗けば弄り倒す。希代の講釈師は超セクハラでもあった。 後には、平賀源内が師と仰ぎ、大田南畝や山東京伝も氏に関する著作を残している。 狂人と称して、多くは文字にしなかったから、生き永らえたのか。 江戸の世には、まだまだすげえ奴がいる!2014/12/11
yooou
7
☆☆☆☆★ 自分でも信じられないぐらいアウェーな分野の本でありましたが、これまで知らなかった江戸の市井の人々の姿が活き活きと浮上してくる。辛らつに安倍政権をこき下ろす芸人はどこに。果たして現在は本当に言論が自由なのかとか。200年後の人々が今の世の中をどんな風にみるのだろうかというところにも思いは及ぶ。良本でありました2015/01/22