内容説明
ヨーロッパを恐怖のどん底に陥れた黒死病=ペストの大流行を前に、自らの存亡を賭して立ち上がったイタリアの都市国家。衛生局、衛生官、そして医師たちの活動を通して、ルネサンス期イタリアの医学と行政の先進性を明らかにする。
目次
序論 ルネサンスの医学事情(大学の成立と医学の歩み;近代以前の医学教育;公衆衛生局と医師)
第1部 公衆衛生局の起源と発展(イタリアの先進性;ペストに関する知識と対策;衛生局に対する敵意;公衆衛生と経済;衛生施策の費用と有効性)
第2部 ガリレオ時代のトスカナ地方の医師(医師の登録制度;人口に対する医師の比率;大都市の契約医;医師たちの出身地;医師の招集と派遣)
感想・レビュー
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畑
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イタリア都市国家の防疫機構が、13世紀頃から発達を始めているという事に驚く。獣が病を媒介している可能性には気づいてもネズミにまで特定できなかったため、猫を大量に狩り結果的に蔓延を加速させた例が興味深い。参考文献の英論文、伊語書簡の引用元確認。 ?猫殺しは宗教改革時や魔女狩りなどにも例が見られるが、ヘイトの対象になる獣なのか ?商業的に競争関係にあった諸都市国家が疫病時に連携する例は他地域にも見られるか ?商人と行政の対立は、商業国家と言われるヴェネツィアでも激化したか2016/05/12
くらげ
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勉強のために読んだ。ペストが行政機構の発展を促したという側面が面白かった。2014/12/02