内容説明
広場、噴水、モニュメント…都市を構成する仕掛けのおもしろさ、楽しさ、奥深さ。イタリア、フランスの都市環境の美を訪ねる。
目次
1 イタリアの丘の町
2 広場という快楽
3 彫刻と水の詩―ローマの噴水
4 ルネサンスのある修道士の環境美術
5 人間の道、パリのパッサージュとヴェネツィアの小路
6 バロックからアール・ヌーヴォーに至る曲線感覚
7 アール・ヌーヴォー時代のパリの環境
8 アール・ヌーヴォー都市ナンシーの建築的環境
9 アール・デコの装飾する建築
10 イタリア近代建築の夜明け
11 環境デザイナー、エットレ・ソットサス
著者等紹介
佐野敬彦[サノタカヒコ]
1935年名古屋市生まれ。61年東京芸術大学美術学部芸術学科卒業。63年同大学美術専攻科修了。63~69年ローマ大学留学、74~84年パリで美術を研究し、美術書の編集、美術ジャーナリストとして活動。85~2001年、京都市立美術大学美術学部助教授、教授。同大学名誉教授。01年以降、今日まで大阪芸術大学教授(環境・建築芸術学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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桜子
18
ヨーロッパ全体ではなく著者が生活をしたイタリアとフランスのみ、イタリアの項が多く環境美術に沿って話が進んでいきます。古き良きものをどんどん壊す日本は見習う点が多い(耐震補強でどうにかならないのでしょうか)、日本ほどではないにしろイタリアもヨーロッパでは地震多発国なのにこの差は何だろうと読み進めながら感じた。1つの町を環境美術に即した景観には憧れます。アール・ヌーヴォーの項では著者の想像と前置きしながらも日本の型紙の影響からの工芸品の下りは素敵な話でした。2018/06/07
ティス@考える豚
8
好きです。ヨーロッパ建築の本はちょくちょく読みますが、やっぱりあの豪壮さや自由への飛躍を感じさせるフォルムを見ると堪らないものがあります。やっぱり勉強すればするほど楽しみは増えるんですね。私は世界遺産が好きなので、素人なりに写真を見ながらデッサンをするのですが、白亜と黄金の大聖堂の力強さやらエッフェル塔を始めとした鉄の緩やかな曲線やらを見ると人類ってすごいなーと思います。それだけに日本の都市圏との違いが浮き彫りになり、残念です。日本は日本独自の和を景観に組み込めば更に素晴らしい国になれていただろうなあ。2012/11/25
八
2
小道と広場。高さの揃った建物。街の中心には教会の塔。やはり中世都市が美しいと思います。2014/07/21
ちっち
1
完成した建築物の写真、文章を興味深く読みつつ、当時のイタリア、フランスにおけるカーペンターの技量の高さに思いをはせた次第。2019/05/15
figaro
1
<イタリアの丘の町>は、人々の自然の営為によって、錯綜し複雑な迷路や不定形の表情をもつ広場から成る。作者にとって、広場とパサージュは都市にとって不可欠な構造体だが、広場は,公園のようなアクセサリーではなく,サロンであり,市場であり,儀式の場でもある,生活空間そのものである。パリのパサージュやヴェネツィアの小路は、人間のための道であり,歩く雰囲気を楽しみ,多くの人が集まる場である。このようなヨーロッパの美しい街並みは,経済効率よりも、伝統や美的なものへの執着が作り出したものだ。日本の町との違いはここにある。2018/08/28