出版社内容情報
世界的数学者でありながら、日本人の心性や情緒に洞察を深め、多くの文章を遺した岡潔。世代を超えた人気を集める岡の随想を一冊で。
内容説明
人の中心は情緒にある―「失われた叡智」を取り戻すために。天才数学者の提言。
目次
生命
こころ
天と地
数学を志す人に
春宵十話
かぼちゃの生いたち
数学と大脳と赤ん坊
ロケットと女性美と古都
日本的情緒
物質主義は間違いである
宗教について
六十年後の日本
人とは何か
著者等紹介
岡潔[オカキヨシ]
1901~78。数学者、随筆家、奈良女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サトシ@朝練ファイト
30
まず「情緒」と言う言葉が出ているのが意外。「こころ」が読みやすく、岡潔氏と言えばジャンプしている写真が有名だが経緯が分かりました。中谷宇吉郎、湯川秀樹、朝永振一郎氏らの名前が普通に書かれているのも非凡だね。2019/09/01
Tenouji
26
これは、すごい内容だった。日本的情緒から、日本的霊性というか、仏教でいう無差別智や、頭頂葉の話しへ。岡潔氏の随筆は、どこか気になっていたのだが、この書籍の編集により、明確になった気がします。2019/04/17
すくすく
16
多変数解析函数論を専門とする数学者であり、随筆家。1901年生まれの方の著書なので一部内容は古さを感じなくもない。「数学を志す人に」というタイトルではあるが、色々な美や知、善に触れよ、というのがメッセージのようだ。著者は子供の頃は算数、数学は暗記で乗り切っていた、などのエピソードは率直に面白い。私は数学は全くもって苦手で大嫌いだが、数学の面白さは「難問が解けた!発見できた!」というシンプルな成功経験の積み重ねで感じられるのかもしれない。2022/12/22
ごく
16
3割残して積読だった。氏に興味を持ち選んだのに装丁から、こんなタイトルだと今更知る 笑 教育について心と数学、体験談を通した考察本。執筆した65年頃の道義を教えず詰め込みな教育を批判し、子供達が大人になった時代を懸念…今の65歳以降ゆとり迄?数学は心と相反するが真善美が必要で芸術を学生に推奨 笑 人間には情緒、人生には道義と理想が必須。寺子屋では論語の素読から始めたと知ると現代との隔たりたるや 笑 動物に愛されたお話は氏の語りを裏付けていた。日本の未来を懸念した『シン・二ホン』を想起。ルネサンス時代突入?2020/07/09
やんも
15
書きたいことは、つぶやきで書いてしまった。なので簡潔に。本書は天才数学者による数学の面白さ、奥深さ、興味深いエピソードが書かれた書ではない。戦中、戦後、日本の将来を危惧し、仏教に傾倒した数学者による、独特な精神・教育論を集めた1冊。天才数学者としての片りんをうかがわせる、数学と関わり始めた若き日の回想は、実に面白い。このときから数学の禅僧のようである。自分には極論に思える部分もあったが、数学は調和であり、それは心の調和、世界の調和にも通じていることと受け取った。あ、簡潔じゃなかったよ。2017/04/09