出版社内容情報
文献資料と絵画資料の読解によって、中世後期の北野社をめぐる空間構造、社会組織、イメジャリーのありようと変遷を多角的に探る。
内容説明
多角的に描き出される北野社のありようと変容。文献史料・絵画資料の精読をもとに、方法的に設定された多彩な視角から、中世後期北野社の歴史的リアリティに迫る、画期的な論集。
目次
第1部 空間(北野に通う松の下道―一条通と北野・内野の風景;北野の馬場と経堂;空間から見る北野天神信仰の特徴)
第2部 組織(中世後期「北野社」神社組織における「一社」;北野宮寺法花堂供僧の設置―法螺を喜ぶ北野天神のために;松梅院禅予殺害事件と殿原衆の行動)
第3部 信仰の諸相(室町期における北野祭礼の実態と意義;天神信仰における牛の由来)
著者等紹介
瀬田勝哉[セタカツヤ]
1942年生。大阪府大阪市出身。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。武蔵大学名誉教授。専攻、京都中世史、木の社会史・文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chang_ume
10
中世(室町期)北野社について、空間・組織・信仰の面から多角的に論じた内容。参詣路の復元を通して、豊臣期「戻橋」の検証を含め、一条通・内野と中世北野社の連結を描いた瀬田論文。北野経堂・右近馬場を中心に、興行の場としての北野社の性格変遷を論じた野地論文。さながら中世北野社の百科事典が如く境内・社頭・御殿の各域を細見した菅野論文。天神信仰と「牛」の関連について再検討した飯田論文(よく分からなかった)、など。細かな分析が多く、正直なかなか議論を捕捉しづらいながら、北野社の錯綜した多面性の一端をうかがい知れた。2021/07/22