内容説明
陸と海のシルクロードを伝って、盤上遊戯は人から人へと渡っていった。やがて奈良にいたる伝播の経路を検証し、人類の「遊び心」の壮大な歴史を描く。囲碁、将棋、チェス、麻雀…。遊びの来歴をたどる旅。
目次
第1章 オアシスの路(盤上遊戯の曙―レバント地方;古代の盤上遊戯―肥沃な三日月地帯 ほか)
第2章 草原の路(アストラガルス―自然物の利用;長方体や立方体―人工のさいころ ほか)
第3章 海のシルクロード(古代の遊戯盤1―海上の道;古代の遊戯盤2―地中海 ほか)
第4章 日本への伝来(中国の盤上遊戯―絲綢の路;日本への路―東シナ海 ほか)
著者等紹介
増川宏一[マスカワコウイチ]
1930年長崎市に生まれる。旧制甲南高等学校卒業。以来、将棋史および盤上遊戯史を研究。大英博物館リーディングルーム・メンバー、国際チェス史研究グループ会員、遊戯史学会会長、日本将棋連盟将棋歴史文化アドバイザー。第17回将棋ペンクラブ大賞特別賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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びっぐすとん
19
図書館本。「正倉院展」で豪華な双六盤を見て、はるかシルクロードにも繋がる品だと感動した。ゲームからシルクロードを辿るということに興味を覚えて借りてみたが、ちょっと読みにくかった。ゲームの研究をしている人がいることは驚きだが、話にまとまりがなく、核心に迫った部分は案外少ない。ゲームごとにまとめて歴史、形状、ルール、地域による違いを説明してくれる方が分かりやすいのに。日本におけるゲームの説明は分かりやすかった。新石器時代からゲームがあったらしいこと、動物の踝の骨がサイコロになったことなどゲームも奥深い。2021/07/18
めぐみこ
1
まず盤上遊戯が豊富なことに驚いた。聞いたこともない遊戯がいっぱい。本文内での説明ではルール等のイメージが掴めず、内容が把握しづらい所もあったのが残念。ちゃんと勉強して出直して来いってことかな。意外なところにルーツがあったりして伝播のルートや歴史は興味深かった。2014/08/27
ポルターガイスト
0
内容自体はとても面白そうだが「東西交流」と「ゲーム」のふたつの焦点があるせいで全体として話があっちこっちに飛んで印象が薄くなっている。どちらの本としても成功していないのでは。トランプはいいとしてもポロなんかは明らかに収録すべきではないと思う(スポーツだろう)。最終章だけは日本にターゲットが絞られていたので理解しやすかった。この分野をもっと体系的に学びたいと思った。写真が多いのはよかった。2016/02/29
いぬかいつまき
0
ホイジンガが人間を「ホモ=ルーデンス」だと提唱したように、人間文化と遊戯とは切り離せない存在である。古代文明発祥地のエジプトやメソポタミアやギリシアや中国で生まれた盤上遊戯は、所謂シルクロードと呼ばれる交易路を往復する商人や船員を媒介としてユーラシア大陸中に広まっていく。文化や宗教が異なれども、遊戯はその土地土地に受容され、風土に合わせて変質し、新たな遊戯を生み出して土着する。インド発祥のチャトランガが中国では象棋に、日本では将棋へと姿を変えたのはその好例。今後も遊戯は異文化理解の第一歩でありうるだろう。2012/03/02
kozawa
0
色々なボードゲームの類の歴史。面白く読めた。ある地方にあるゲームが受容されて一方が受容されないときに「明確な理由」があるとは限らないとは思うけれど。2010/12/23