内容説明
多数の少数民族が居住する中国南部では、経済の進展とともに巨大なスケールの人口移動が起きている。人類学・社会学・歴史学・経済学などの学際的な共同研究により、流動する現代中国社会を理解するための新たな道筋を拓く。
目次
第1部 移住のプロセスと国家政策(広東人社会と客家人―一八世紀の国家と移住民;少数民族と漢族 ほか)
第2部 移住をめぐる民族間関係(シーサンパンナにおける漢族流入とタイ族―床下居住民の生活;四川チベット族地区における漢族の流入―漢方薬原料の産地にて;雲南省大理ぺー族地区に移住した漢族―明代軍屯に由来する人々 ほか)
第3部 民族集団の生成とアイデンティティの揺らぎ(回族―移住によって形成された「少数民族」;「屯軍の末裔」たち―貴州における移住と民族の生成;人の移動とアイデンティティ―香港新界地域の客家系住民を中心に ほか)
著者等紹介
塚田誠之[ツカダシゲユキ]
1952年生まれ。北海道大学大学院博士後期課程単位取得退学。現在、国立民族学博物館民族社会研究部教授。著書に『壮族社会史研究―明清時代を中心として』国立民族学博物館研究叢書3、2000年、『壮族文化史研究―明代以降を中心として』第一書房、2000年など
瀬川昌久[セガワマサヒサ]
1957年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。現在、東北大学東北アジア研究センター教授。著書に『中国人の村落と宗族―香港新界農村の社会人類学的研究』弘文堂、1991年、『客家―華南漢族のエスニシティーとその境界』風響社、1993年、『族譜―華南漢族の宗族・風水・移住』風響社、1996年など
横山広子[ヨコヤマヒロコ]
1953年生まれ。東京大学大学院社会学研究科修士課程修了。現在、国立民族学博物館民族社会研究部助教授。著書に『少数民族の政治とディスコース』青木保編、岩波講座『文化人類学7移動の民族誌』岩波書店、1996年、『雲南ペー族の村から見た中国社会の変動過程』『東アジアの現在:人類学的研究の試み』風響社、1997年、共著に、叢書〈産む・育てる・教える―匿名の教育史5〉『社会規範―タブーと褒賞』藤原書店、1995年、訳書に費孝通『生育制度』東京大学出版会、1985年など
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