内容説明
ドラマチックな登場から罷免による退場まで、その全過程を豊富な資料・証言と透徹した視点で分析する、わが国初の研究書。政治と制度の核心に迫る大著。
目次
第1章 ペルー政治への視角
第2章 フジモリ政治の胎動
第3章 フジモリ政権の発足から憲法停止措置の収拾まで(一九九〇~九二年)
第4章 フジモリ再選への過程(一九九三~九五年)
第5章 第二期フジモリ政権の失速(一九九五~九八年)
第6章 フジモリ政権の終幕(一九九九~二〇〇〇年)
著者等紹介
村上勇介[ムラカミユウスケ]
1964年長野県生まれ。東京外国語大学外国語学部スペイン語学科卒業、筑波大学大学院地域研究研究科修士課程修了。国立メキシコ自治大学国際関係研究センター客員研究員、在ペルー日本国大使館専門調査員・理事官、ペルー問題研究所客員研究員などを経て、現在、大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立民族学博物館地域研究企画交流センター助教授。専攻は、ラテンアメリカ地域研究・ラテンアメリカ政治研究
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感想・レビュー
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人生ゴルディアス
4
予想外の面白さ。ペルーは明文化された手続きや制度によって政治が運ぶ素地がほとんどなく、有力者によるパトロンクライアント関係で政治空間が構築され、民衆も直接的な利益を求め投票し、特定の政治集団を支持するわけではない。フジモリはそんなペルー政治の枠の中で生まれたたまたま日系だった大統領であり、初期は確かに政治的な手腕を発揮できたが当然権威主義的。また統治後半に支持率を落とし始めるとなりふり構わなくなり、政権の良心であった弟が去り、最後は汚い仕事を任せっきりだった右腕によって破滅する…という政治ドラマだった。2025/04/20