内容説明
「印欧語族三機能イデオロギー説」など独創的な業績で知られる碩学が最適の対話者を得て明かした学問の歩みと人生のゆくたて。「哲学と芸術の模範的な連携」の秘密に迫る一級の知的ドキュメント。
目次
第1部 人生は遊戯(不死の饗宴;ワルシャワ、イスタンブール、ウプサラ…;一九三九年以降)
第2部 インド=ヨーロッパ語族の足跡―神話と叙事詩(総体への関心;ナルボンヌの王子たちとヤヤーティの息子たち;「ギリシア人は不実な恋人」;クイリヌスと群衆;良識の善用;三機能の生と死)
第3部 「私は思想の指導者ではない」(ソポクレス、ベルクソン、ノストラダムス;政治;友人のネットワーク)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
10
最晩年の著者と対話した本書は、インタビュアーD・エリボンの意向から神話学研究者より20世紀フランス思想の主要人物の人生として3部構成される。それゆえ著者の神話学を支える構造主義に対する思想的態度と戦時のナチスに対する政治的態度が読める。前者についてメイエ(ソシュールの弟子)から教えを受けた著者はバンヴェニストの印欧語族研究を参照しつつ各神話の音韻関係を比較したとし、後者について言語圏を限定した自身の比較神話学が王党派的態度に支えられる点を幅広い交友関係を語る中で仄めかす(本書は亡きフーコーに捧げられた)。2024/03/16