内容説明
忍耐と孤独の果てにようやくかちえた動物の信頼―。それこそ彼女たちの望みであり、すべての始まりだった。野生のチンパンジー、ゴリラ、オランウータンの生態研究に生涯を捧げる3人の女性動物学者の苦闘と喜び。
目次
第1部 保護者(ビルーテ・ガルディカスとスピナー;ジェーン・グドールとフロ;ダイアン・フォッシーとディジット)
第2部 科学者(信念の人ルイス・リーキー;“大文字のSのついたサイエンス”;ニイラマチャベリのいけにえ;忍耐の研究)
第3部 戦士(聖戦士―ジェーン・グドールの道徳的ジレンマ;魔女―ダイアン・フォッシーの狂気;外交官―ビルーテ・ガルディカスの政治)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
2
それぞれチンパンジー、ゴリラ、オランウータン研究の第一人者である女性達、ジェーン・グドール、ダイアン・フォッシー、ビルーテ・ガルディガスの評伝。たおやかさで世論を魅了しチンパンジーの保護活動を司るグドール、ゴリラの密猟者達と文字通り戦った(捕えた密猟者を見せしめに拷問する)末に復讐されて惨殺されたフォッシー、インドネシア社会に適応しながら政治力を駆使してオランウータンを守り続けるガルディガス、各々の個性が強烈だ。只、この三人には動物に入れ込む反面、どこか人間社会との精神的距離があるような印象。2021/04/24
takeakisky
0
類人猿読書のまとめとして。それぞれの自伝からは見えなかったことが見えてくるかも、と。本人たちの本とは異同がある。従来の大文字Sのサイエンスとは別のアプローチを著者は表面上称賛するが、現地現物にあたり、それを理解し、その枠を大きく逸脱しない、その場所の持つ文化を尊重するという本質においては、批難的。彼女たちの行動の判断が誤っていたと言えるところに著者の傲慢さと、同時に彼女たちがどれだけ違っていたのかを思う。たとえ過ちだったとしても、それを含めて美しい一途さを見る。彼女たちを見出したリーキーに興味が拡がる。2025/10/09




