内容説明
舞台はポンメルン地方、第二次大戦後その大部分がポーランド領となる、バルト海に面した一帯である。すでに連合軍がノルマンディ上陸作戦を開始していた。1945年5月のナチス敗北、占領ソ連軍の侵入、住民の西方への逃亡…。混乱と荒廃のなか、失われた旧ドイツ帝国領でいったい何が起こったのか。本書は、著者クリスティアン・フォン・クロコウが姉リブッサの語り聞かせた体験談に基づいてまとめた〈劇的な物語〉であり、それは、秩序が崩壊するさなかを〈希望〉を見失うことなく生き抜いた一人の女性の、大破局のなかの〈小さな個人史〉である。
目次
1 盛大な祝宴をもう1度
2 闇に閉ざされた扉
3 ツァッケンツィン行き、そして退却
4 かつてなかったような春
5 庭師の家でのひと夏
6 暗闇の中の光
7 西への旅立ち
8 ポンメルンへの旅
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
2
現在はポーランド領となった、旧ドイツ領のポメラニアの貴族の女性による、第二次大戦中の1944年から戦後の1947年までのオーラル・ヒストリーを弟が聞き書きした本。いわゆるドイツの銃後を、女性(地方の上流階級)の視点から書かれていて、大変興味深い。侵攻してきたソ連軍に占領される終戦前後から、事態は一気に緊迫。ソ連兵による、ドイツ女性への日常的な暴行、組織的な略奪、そして逮捕や銃殺が余り声高ではないトーンで描かれている。体験者本人は幸いにも暴行されなかったとのこと(際どい目には何度も遭っているようだが)。2015/01/07
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