内容説明
20世紀初頭、ロシアは革命という大きな激動の中にあった。この時期に「赤い道化師」と呼ばれ、煽動者として革命の先頭に立ち、民衆の絶大な支持を受けたサーカス芸人ヴィターリイ・ラザレンコ。〈行為における詩人〉として生きた道化師の生涯を丹念に追い、メイエルホリド、マヤコフスキイら同時代芸術家たちとの実験的・挑発的ないとなみと、革命期の見世物小屋にこだました歓声と呵呵大笑を、臨場感に富む筆致で描き切る。当時ロシアを巡業した日本人曲芸師「タカシマ」や「カマキチ」らの謎につつまれた足跡も追う。
目次
プロローグ 1989年春、マヤコフスキイ広場
第1章 革命と道化師
第2章 メイエルホリド、マヤコフスキイとともに
第3章 サーカスは陽気なサナトリウム
第4章 最後の闘い
第5章 ラスト・ステージ