出版社内容情報
藤原定家『明月記』をはじめ、六国史から公家の日記、近世の随筆や記録まで、古典籍に残された日本のオーロラ観測記録を掘り起こし、歴史時代の太陽・地球間の出来事を解明する。
内容説明
藤原定家が『明月記』に記した日没後の「赤気」、本居宣長が夜の北の空に見た不思議な赤い光、それは日本のような低緯度でも見られるオーロラである。大きな磁気嵐を背景とするこの現象が、史書、日記、随筆などに記録されている。それらをたどり、太陽・地球の千年の歴史を探る。
目次
1 オーロラ発生のメカニズムと研究の手法
2 安政六年のオーロラ―観測史上最大のオーロラ キャリントン・イベント
3 六国史にみるオーロラ―飛鳥時代・奈良時代・平安時代初期
4 『明月記』のオーロラ―鎌倉時代
5 庶民の記録にみるオーロラ―江戸時代
6 描かれたオーロラ
付 オーロラの科学
著者等紹介
岩橋清美[イワハシキヨミ]
1965年、東京都生まれ。法政大学大学院人文科学研究科博士課程修了。博士(史学)。現在、国文学研究資料館特任准教授。専攻、日本近世史、主として地域文化史
片岡龍峰[カタオカリュウホウ]
1976年、仙台市生まれ。東北大学大学院理学研究科博士課程修了。博士(理学)。現在、国立極地研究所准教授。専攻、宇宙空間物理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まりお
30
過去の文献から日本で起きたオーロラを調査するもの。過去に日本でオーロラが起きた事すら知らなかったから、とても新鮮で興味深い。「赤気」などオーロラを示す言葉、実際にオーロラを見た人が描いた絵。初めて知るものばかりだった。2019/08/11
氷柱
8
540作目。12月31日のみ。オーロラについての小冊子。非常に軽くすぐに読むことができる。しかし内容はページ以上に濃い。過去の日本とオーロラの繋がりを知ることができる一作。意外にもオーロラは日本の本州でも見られた瞬間があり、その実態にわずかながらも近づくことができた気がした。オーロラの発生は電子機器に多大なる影響を及ぼすとは言われているものの、いつか国内で観測してみたいものである。2019/12/31
bapaksejahtera
4
平安時代藤原定家が明月記に記し、江戸時代に入り明和7年に庶民を含めてオーロラ事象の驚きが伝えられている。オーロラは地磁気に対する太陽風の干渉によって生じる発光現象であるが極北地域で発生することから文献資料としては残ることが少なかった。本書は短い書冊であり、重要とは言えオーロラの表現を巡っての記載が多く肝心の文献事例紹介が少ないなど本分野の研究がまだ緒についたばかりなことが判る。明月記の記事から太陽系外縁天体仮説にその名を冠するオールトが超新星爆発の位置測定を行ったとの記述や磁極の移動や逆転の話題は面白い。2020/05/13
フラボノ
2
昔の人の日記や文献を元に、日本で見られたオーロラについて掘り下げる本。みんな怖がったり珍しがったりしてる中、睡魔に負けてオーロラを見られなかった人が悔しがる日記を残してるのが可愛い。2025/03/07
ぞだぐぁ
2
薄い本(同人誌とかでなく、物理的にそう)だが内容は濃かった。 極地で起こるオーロラが日本で観測された史実を科学ではなく文献から当たっていっている。 日本の辺りだと赤く見えることから遠方での噴火や火災と間違えられていたり、逆に科学的な手法で世界的に発生していただろう時は日本では昼間で気づかれなかっただろうと言う話も。2023/10/11
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