出版社内容情報
漢字とひらがなの堅い序列を突破し、勅撰和歌集、やがては医書までひらがな化。ついにひらがな上位の思想が現れる、表記のドラマ。
入口 敦志[イリグチ アツシ]
国文学研究資料館准教授
内容説明
日本語の表記は複雑、漢字、カタカナ、ひらがなの三種類の文字を使って表記する。さらに、漢字カタカナ、ひらがな漢字混じりなど、組み合わせた表記法は多様だ。表記は社会的背景をもつ。表記に現れた思想について考えてみよう。
目次
1 『古今和歌集』の意義(万葉仮名からひらがなへ;『寛平御時后宮歌合』から『新撰万葉集』へ ほか)
2 四つの『平家物語』(真名本;和漢混交文 ほか)
3 医学書の表記(江戸時代以前の医学用語;『解体新書』の表記 ほか)
4 山鹿素行から本居宣長へ(山鹿素行;歌学との決別 ほか)
著者等紹介
入口敦志[イリグチアツシ]
1962年、福岡県生まれ。九州大学大学院文学研究科博士課程退学。博士(文学)。現在、国文学研究資料館准教授。専攻、江戸時代前期の学芸の研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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クサバナリスト
8
ひらがなが正式に文書として認められるには、長い年月を要したことが分かる。2017/02/04
gorgeanalogue
1
興味深い部分もあるが、書体、書誌学、文体といろいろととっちらかって、何が言いたいのかはっきりとしない。「表記は思想だ」と言われても説得力なし。薄いのが悪いわけではなくて、構想力が欠けていると思う。2017/07/30
Като́н
0
『大同類聚方』って現存するくない? 偽書だという見解が通説なのか。例外として『延寿撮要』などあるが江戸時代以前、楷書の漢字とひらがなを組み合わせることはまずなかった。日本における印刷は『百万塔陀羅尼』に始まるがこれは現存する世界最古級の印刷物。十七世紀以降、徐々にひらがなが庶民のものとなるなかで、漢文は上層身分の言葉という区別が出来上がる。それ以前は文字を使える身分階層は限られていたのでひらがなも上層身分の言葉だった。2024/04/18