目次
序章 シフィリスの跳梁
第1章 バルザックにおける性感染病
第2章 フローベール―癲癇、梅毒、そしてヒステリーと『ボヴァリー夫人』
第3章 梅毒を罹患した作家たち―ジュール・ド・ゴンクール、モーパッサン、アルフォンス・ドーデ
第4章 自然から神秘へ―ユイスマンスにおける病気
終章 梅毒の説話法
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
9
非常に面白い。Eゴンクールは弟の死を、「過度な知的活動によって」衰弱、と伝説化。モーパッサン晩年の狂気は、ロンブローゾによる天才=狂気紙一重説の流布により、天才性の証しとされる。しかし彼らは実際には(当時は気がつかなかったとしても)梅毒によって脳が侵され死に至ったのだ。世紀前半には皮膚に現れる、性豪の証し的に軽く見られていたこの病が、世紀末には脳への影響ゆえに恐怖の病となる。ユイスマンスは愛人の梅毒による身体・精神の変容を目の当たりにし、宗教へと助けを求める。病と天才、宗教との結合は、病因が判明して終わる2020/06/07