内容説明
アーサー王物語の代表作、本邦初訳。中西ヨーロッパ最大の詩人にして物語作者、クレティアンの手になる、円卓の騎士イヴァンの真の「愛」の物語。
目次
翻訳篇 獅子の騎士―イヴァン
解説篇 ブロセリアンドの森の泉と獅子の騎士―アーサー王文学のフランスにおける展開(ケルト族とアーサー王物語;十二世紀の「アーサーもの」―ジョフロワの著作;十二世紀の「アーサーもの」承前―ブルターニュ譚とクレティアン;作者クレティアンとその時代;『獅子の騎士―イヴァン』について)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つだしょ
2
解説は未読。粗筋。イヴァンは自分がその夫を殺した未亡人ローディーヌを愛し、侍女のリュネットの助けもあり、妻にするが、彼女との約束を守れなかったため、アーサー王たちのもとから去る。紆余曲折の末、再び彼女のもとに戻る。なぜゴーヴァンとイヴァンは互いを知らずに闘うことになったのか?ある領主の娘二人、姉と妹の相続権の問題でそれぞれを擁護する騎士が決闘することになり、妹がイヴァンを探しだした。姉の側につくのがゴーヴァン(なぜ?)。イヴァンはローディーヌとは別件で戻った。それが、極端な物語展開のトリガーになっている?2012/11/05
冬樹
1
図書館にてタイトルの「フランスのアーサー王物語」という一文に違和感を感じて。読んでみると何のことは無いフランス作家がかいたアーサー王物語だった。後半の解説があるのでまぁわかりやすい。こういうちゃんとした宮廷文学を読むのは初めてだった。2018/04/28
つだしょ
0
イヴァンはかつて愛し婚姻もした(物語の一番最初、発端)決闘して殺した騎士の妻ローディーヌに容姿を、視覚的な情報を忘れ去られている。おそらく、本人の意に反してはいたが、その妻を放置してアーサー王のもとで、妻との約束を破って何年も決闘などに明け暮れていて風貌も全く様変わりしていたということと、完全武装してライオンを連れていたからだろう。リュネットの助力の甲斐あって、最後は無事にイヴァンとローディーヌは結ばれる。他の女性にうつつを抜かすことなく、愛を貫き通したという素晴らしさを伝えたい、というシンプルな意図。2021/08/01