感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
10
前半が小栗判官論,後半が折口論となっている。さて、最近ミシェル・フーコー論の大半は論ではなく文学でしかないという論を見た。然り。そして折口論もそうだろう。本書もその一つだが著名な国文学者に依るものだけに力の入込み方が違う。民俗学者、散文家、国文学者、歌人としてのそれぞれの側面に常に言及しつつ折口の問うてくる「精神史的な背景」に応えようとする。「なぜ折口は、土着の問題ではなく異郷に、定住民ではなくて訪れるものに、あれほどまでも魅せられたのであろうか。どのような精神史的背景をそこに窺うことができるか。」2021/05/02