内容説明
文明の利器にあふれ、先端風俗に彩られたモダン都市は、やがて都会の孤独、盆富の格差の増大、欲望の露骨な噴出など、さまざまな都市型の病理をはらんでゆく。前例にない奇々快々の犯罪が、つぎつぎと都会の巷を震わせた。
目次
指紋(佐藤春夫)
途上(谷崎潤一郎)
労働者誘拐(江口渙)
安全弁(宮島資夫)
現場不在証明(角田喜久雄)
昇降機(小舟勝二)
恋人を喰べる話(水谷準)
支那人街の娼婦(北林透馬)
法医学教室(正木不如丘)
日羅博士(江戸川乱歩)
諏訪未亡人(延原謙;吉岡龍;海野十三;角田喜久雄;横溝正史)
四次元の断面(甲賀三郎)
特殊犯罪小品三篇(内藤辰雄;佐藤富三;渥美権)
街裏の秘密(鈴木清次郎;稲上健之助;有松英一)
6万円拐帯事件(橋本英吉;窪川いね子;土師清二)
越中島運転手殺し(大下宇陀兒;横溝正史;甲賀三郎;浜尾四郎)
「指紋」の項(佐藤春夫)