出版社内容情報
オリジナルが優でコピーは劣なのか。真贋の二項対立図式に異を唱え、書物や美術品、写真、建築など約80点の図版とともに、そのはざまに生み出されてきたものを読み解く。
内容説明
すべての創造はコピーの所産である。ホンモノとニセモノの対立図式に異を唱え書物や美術品、建築など約80点の図版とともにそのはざまに生み出されてきたものを読み解く。
目次
第1考 「模」(模作;相剥;量産;異版;原画 ほか)
第2考 「複」(イミテーション;ムラージュ;ファクシミル;リプロダクション ほか)
第3考 「偽」(詐術;捏造;贋作;係争;鑑定)
第4考 「写」(描写;複写;原板;印画)
第5考 「倣」(複製;複数;印行;符丁 ほか)
補遺「鑑」(放射性炭素年代測定;液体クロマトグラフ質量分析;蛍光エックス線元素分析 ほか)
著者等紹介
西野嘉章[ニシノヨシアキ]
1952年生まれ。東京大学名誉教授。博士(文学)。2015年仏国レジョン・ドヌール勲章シュヴァリエ受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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朗読者
25
オリジナルとコピーの話。ちょっと読みにくいというか、共感できないところが多かった。紙幣は原版がオリジナルで、刷られたお札をコピーって言っちゃうと、偽札は何って話とか。版画の話もそう。ただ、様々なモノの製作過程が詳しく説明されており、どこにオリジナリティがあるかをよく考えている点は面白かった。ものづくりの面白さ、奥深さが背景に流れていることが感じられた。読中、ヨルシカのレプリカントが頭の中で鳴っていました。「僕らの心以外は偽物だ 言葉以外は偽物だ この世の全部は主観なんだから 君もみんなレプリカだ♪」2024/07/16
amanatsu
2
東大の総合研究博物館で2001年に開催された「真贋のはざま展」企画者による書物。著者の希望でこうなったのかは不明だけど、本編全て「太文字」になっていて、これがけっこう高齢の者にとっては読み易くて良かった。内容は「オリジナル」と「コピー」について、再認識させられる興味深いものだった。コピー(複製)ということから、版についての記述が多く、小生自身も版画に関わっているので、示唆に富むところが多かったと思う。2024/08/08
sunafukinT
2
★★★ こんな物もあるんだなとぼんやりと読んでいた ▼コピーに価値がつくのはオリジナルが無くなったとき。これだけはなんとなく納得した。2024/07/18
AO ( × ×)ノ⌒○
2
“芸術品は「オリジナル」でなくてはならない。こう考える人は、いやしくも芸術品とされるものには、創意や工夫、あるいは独創性といったものが認められねばならぬとする、近代的な芸術観に縛られている。その自覚に乏しいばかりか、そうした芸術観が形成される以前の芸術的な営みにも、あるいはそれ以降の大方のモノ造 りにも、模倣や模写や複製が当たり前の姿勢であったという、基本的な認識が欠けていると言わねばならない。”2024/05/03
月華
1
図書館 2001年10月20日から12月9日までの展覧会。20年以上経ってから本の出版との事。2024/06/25
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- 和書
- 猫道 講談社文芸文庫