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内容説明
覆面、蓑笠、撮棒、飛礫。柿色の衣、茶吉尼の修法、呪いと調伏。歴史の大転換期に跳梁する「異類異形」の者たち、異形の天皇。
目次
第1部 異形の風景(摺衣と婆娑羅―『標注 洛中洛外屏風 上杉本』によせて;童形・鹿杖・門前―再刊『絵引』によせて;扇の骨の間から見る)
第2部 異形の力(蓑笠と柿帷―一揆の衣裳;飛礫覚書;中世の飛礫について)
第3部 異形の王権―後醍醐・文観・兼光
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
48
佐藤優氏が「名著、再び」でとりあげていた本作。60年に及ぶ南北朝の動乱を引き起こした後醍醐天皇を、密教の呪法、異類の律僧、異形の悪党や非人までを動員して、天皇専制体制の樹立へ突き進んだ特異な天皇と位置づける大胆な学説は刺激的です。建武の新政のころに、非人に源流を持つ「婆娑羅」が大流行して、服装の秩序が乱れたのがいい証拠という。なるほど、服装の乱れが社会秩序の乱れという考え方は中学校の校則を思い出してしまいますが笑、たしかに一理あります。歴史学と民俗学をつなぐ興味深い本でした。2017/03/27
こぽぞう☆
17
「絵巻物による日本常民生活絵引」に関する考察の第1部、行きたいけどの人びとの力を描く第2部、後醍醐天皇を異形の王として捉える第3部からなる論文集。多くの本で参考文献に引かれていたので読んだが、ある程度の下敷きがないと厳しい。「周知のごとく」で書かれて「へ?」となるところ多し。目的の第3部はわかりやすかった。2016/11/10
Mentyu
4
学部時代以来の再読。前回読んだ時はチンプンカンプンだったなと思いながらページをめくっていた。異形の服装や石投げ文化、そして後醍醐の王権といったトピックから、戦後長らく主流であった史的唯物論で見落とされてきた社会の機微をくみ取ろうとする。天皇とその周辺に集まる聖性を持った人々というテーマは、極めて日本史的なものだが、中沢新一らとのつながりの中で、汎人類史的なものにも挑戦しようとしていた気配がうかがえる。2021/12/18
らむだ
3
異形の者たちの姿を様々な絵巻から読み取り“異形”のあり方や力などを考察した第一部・第二部。そして異形と深い関わりを持ち、自らも異形の天皇として君臨した後醍醐天皇について書かれた第三部。2014/02/11
魚京童!
3
http://kuzirappa.blog.fc2.com/blog-entry-1176.html2013/11/07