出版社内容情報
鉱山から地下世界、爆破の光景から震災後の風景まで、写真の可能性を追求する畠山の濃密な写真世界をダイジェスト。
著者等紹介
畠山直哉[ハタケヤマナオヤ]
写真家。1958年岩手県陸前高田市生まれ。生来、鉱物や金属といった無機物に対する愛着があり、高校時代から生家近くの広大なセメント工場を油絵などに描く。1978年筑波大学芸術専門学群総合造形コースに入学。大学では美術を専攻していたが、写真家であり瀧口修造を指導者とした前衛美術集団「実験工房」に参加していた故・大辻清司(1923~2001年)との出会いによって写真の芸術性に目覚め、写真の勉強を始める。1983年に日本橋のツァイト・フォト・サロンにて初の個展「等高線」を開催(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
空虚
17
人の記憶は都合がよい。盲点に映像を捏造したり、あるいは見たいものだけを見、見たくないものは見なかったこととして忘れてしまう。世界は人間に知覚される際、何度も不当な圧縮を経ねばならない。セメント工場の幾重にも重なって渡された配管。岩山の肌理の細かい岩肌。大都市に林立する窓という窓に灯る明かり。そして陸前高田市、二つの町の瓦礫。圧倒的な情報量、カメラの眼だけが捉えることの可能な、世界の、ありのままの姿(という錯覚)を目にすること。それは写真を眺めるということの本来的な経験なのかもしれない。2016/06/04
ami
1
工場、街、瓦礫2017/11/06
yssogswr
0
小さいからといって侮るなかれ。これぞ編集の力。良質なダイジェスト。渋谷川の連作の見開きなどを見ると、サイズが大きく変わってもなおその魅力を再確認できる。雑誌やウェブサイトなどを含む様々な媒体に散らばっている作家の言葉をまとめた巻末のセクション、これがまたすばらしい。2015/04/21