感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
62
「古代神学」とは「ヘルメス文書」に代表される、成立年代が古く想定されていたテクストに基く護教神学の伝統で、初期キリスト教の教父がプラトン等への影響を指摘することで信仰の正統を証したもの。本書ではその15~18世紀における展開を辿ります。魔術的側面からフィチーノらを魅了したそれが対無神論やシナへの伝道を通し護教的な性格に回帰したこと、普遍的な信仰真理を求める態度が比較宗教研究の萌芽になったことなどが示されて興味が尽きません。特に英国理神論の祖チャーベリーのハーバートやニュートンを巻込む後半に魅かれました。2021/11/23
roughfractus02
8
キリスト教では多神教信仰は禁じられたが、アウグスティヌスがプラトンを、トマス・アクィナスがアリストテレスを導入したように、既にキリスト教自身それ以前の考えが混入していた。中東圏にアーカイブされた書物がラテン語訳され流入するルネサンス期、フィチーノらはプラトンを宗教的著述家と捉えつつ、彼の正しい解釈者と認める3~5世紀の新プラトン主義者の文献を読む中で、古代エジプト、中東、古代インドの魔術や占星術の言及に関心を示す。キリスト教以前を「古代神学」と呼ぶ著者は、その再生をキリスト教の魔術、占星術、密儀に辿る。2019/04/11
kiris
2
新プラトン主義と、アリウス説異端の親和性。一者からの流出というモデルに、父、子、精霊を対応させた場合、流出に伴う位格の低下が起こるため、三一論が維持できないという問題。2014/12/27