内容説明
魔術はルネサンス理解の秘鍵である。F・イェイツと並ぶ大家が、世界を貫流する不可視の力能のアルスたるルネサンス魔術の意義を歴史に定位した記念碑的名著。本邦初訳。
目次
フィチーノと音楽
フィチーノの魔術
プレトン、ラザレッリとフィチーノ
自然魔術の一般理論
十六世紀におけるフィチーノ魔術
テレジオ、ドーニオ、ペルシオ
カンパネッラ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
5
「宗教的理由からフィチーノ魔術を非難した面々のなかでも、性向を共有する一群を識別してもよかろう。この一群に属す人々は、福音主義的堅物とでも表現できる。すなわち、あらゆる魔術をダイモン的と、換言すれば悪魔や幻覚によるものと信じている人々である。彼らは超自然的現象の実在に関して懐疑的態度を採りがちで、あらゆる異教哲学に不信を抱き、可能ならばいつでも聖書を至高の権威と看做し、ものごとに対して総じて思慮分別のある、非常識的ではない見方-たいていは穏健なキリスト教的アリストテレス主義に則った-をするのである」2017/09/14
吟遊
4
これはすばらしかった。フィチーノの音楽と宇宙論・生命論から説き起こし、それが以後の100年でどのように受容(たいして影響力がなかったともいう)され、批判され、変容してゆくか。とりわけ、キリスト教とダイモン信仰の関係に焦点を当てて。原書が1958年なのは古い…最新の研究はどうなっているのだろう?2015/08/07
ふたば
0
まだ斜め読みで付箋張ったりメモしたりしながらざっと目を通しただけなんだけど、すごく面白い!フィチーノの魔術思想――自然魔術とダイモン的魔術とか、惑星の影響力と想像力の関係、音楽との呼応など、前半はもうページめくるたびにわくわく!それらがどのように受容されたり発展させられたり否定されたりも面白い。2014/06/03
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