出版社内容情報
「写真は真実を写すものではないのです」「写真はポストカードから始めよう」。新世代の写真表現を切り拓いてきた第一人者による、全く新しい、目からウロコの写真教室。
内容説明
現代美術から広告まで幅広く活躍する写真家が、経験をもとに書き下ろした、はじめての写真論。
目次
第1章 講義篇(私家版写真の歴史;年表1 カメラ・オブスキュラ―決定的瞬間 ほか)
第2章 ワークショップ篇(今日の写真を読むためのワークショップその1 写真を読む;今日の写真を読むためのワークショップその2 写真を疑う ほか)
第3章 放課後篇(ポストカードからはじめよう!;慌てて買わなきゃ!プラウベル・マキナ ほか)
第4章 補習篇(堀江敏幸さんとの対話 すべての創作は虚構である?)
著者等紹介
ホンマタカシ[ホンマタカシ]
写真家。1962年、東京生まれ。日本大学芸術学部写真学科中退。99年、写真集『東京郊外』で第24回木村伊兵衛写真賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ayumii
20
写真は「真を写す」だけじゃない。と言われてみれば、それをどのように撮るか、どのように鑑賞するかのヒントが見えてくる気がする。現実みたいに見えるからこそ、何を考えて撮るか、どんな情報を前提に鑑賞されるかによって、いろんな可能性がありそう。スパイカメラという別名をもつミノックス…今見るとすごくかわいい。2024/01/19
さすらいのアリクイ
12
写真家のホンマタカシさんが写真の撮り方、歴史、写真家について、写真家が撮った写真を題材として使い技法や狙いなどを解説する写真についての本。内容が膨大な上に写真の技法について語っていたかと思ったら次の章は写真を実際に撮ってみることを語り出し…などと自由な感じに話が展開するので読んでいて振り回されている感が強いですが、「ポストカードのような写真を撮るのではなく、ポストカードのようになった風景を写真にする」など、時折これは! という解説、言葉に出くわすのが楽しい。情報豊富で緩めな写真の学術書、という感じの本。2017/11/08
galoisbaobab
12
ちょっと写真撮ることに行き詰まってる感じなので読みました。イマココが素晴らしい被写体なのに知らず知らず決定的瞬間を求めちゃってるんだよね。ワークショップ篇の耳コピならぬ目コピはいいね。やってみよう! アフォーダンスが重要なキーワードだと思うんだけどいまひとつしっくりくる説明が書いてないので「生態心理学」とか読んでみますか。2017/05/10
ほじゅどー
9
★★photographのことを日本語では、真実を写す=写真と訳すが、外人は不思議に思う。何故ならphotographには真実という意味はなく、photo=光、graph=画、なので「光画」と訳すのが妥当だからだ。写真は現実を捉えたものであるのと同時に、誰かに意図的に選び撮られたもの。現実であるとともに加工可能であるという二重性が写真の特徴。どうとでもなり得るという多重性こそが写真の本質。「本物にたどり着かない芸術」こそが写真の一番面白いところ。photographは「写真」じゃない。2016/06/18
tom
9
写真は見るのも撮るのも面白いと思ってきた。でも、どうして面白いと感じるのか不思議に思っていた。この本を読んで考えたのは、写真というのは、その場所に居て、見て、撮ったモノなのだけど、そのモノは、そこに居ても見えないモノなんだろうということ。見えないモノが写真の中に現れる。これが面白いのだ。ホンマタカシさんが、この本でこんなことを考えていたのかどうかは分からないけれど、私は、そう思ったのよね。これだけでも、とても新鮮な「洞察」でありました。写真を撮ることの楽しさが増えたような気がします。良書です。2014/10/05