出版社内容情報
「ゆっくり歩いてるからね、早く来てよ」
その言葉を残して、弟の逢音は彩音の前から消えてしまった。
阿坂温泉太鼓、恩出橋のぎょろりさん。
逢音の「大好き」がつまった阿坂の地で、彩音の止まった時間が再び動き出す――。
内容説明
「ゆっくり歩いてるからね、早く来てよ」その言葉を残して、弟の逢音は彩音の前から消えてしまった。阿坂温泉太鼓。恩出橋のぎょろりさん。逢音の「大好き」がつまった阿坂の地で、彩音の止まった時間が再び動きだす―。
著者等紹介
熊谷千世子[クマガイチセコ]
長野県に生まれる。第4回椋鳩十記念伊那谷童話大賞、第19回小川未明文学賞優秀賞を受賞。信州児童文学会・日本児童文学者協会・日本児童文芸家協会会員
かない[カナイ]
神奈川県に生まれる。保育士としての勤務を経て、イラストレーターに転身。JIA Illustration Award 2022銀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪丸 風人
11
残された者の葛藤を掘り下げることで、命の尊さと儚さを教えてくれる作品ですね。子どもたちも「生きよう!」という気持ちになれそう。主人公は重すぎる喪失に塞ぎこむ小学生。大切な人のこだわりに導かれた彼女が、人の優しさと情熱に触れることで、前進への糸口を掴んでいきます。切ないことこの上なストーリーですね。人の優しさに触れることで乾いた心に栄養が沁みわたる流れには、たまらない魅力がありましたよ。迫力たっぷりな太鼓の響きや独特な祭の様子を、物語を通して体感できるところも素晴らしかった!(対象年齢は10歳半以上かな?)2025/01/29
菱沼
2
かつて、手塚治虫は自分の漫画の登場人物を死なせることについて「その方がいい物語になるから」と(いうようなことを)言った、と聞いたことがある。善良でいたいけな者の死は本当に悲しくて、それだけで感動ストーリーになってしまいそうな要素ではあると思うし、それがいけないわけではない。本書も、辛いけれどいい物語になっている。展開が読めてしまうところはあるけれど。後書きを読んで、作者が舞台となった土地をよく知っていることがわかった。誰も死ななくても、良い物語になるといいなあ。2025/04/01
森乃あさ
0
弟への思い、苦しみがせつない。 装丁から物語りの展開が想像できるが、 等身大の少女をいつのまにか見守っていた。 笑っているぎゃろりさんを見てみたい。 児童文学らしい物語でした。2025/03/23
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