出版社内容情報
夏休みの終わり、バスを降りていった友人が失踪した。彼女の父親が学校にもってきた昆虫標本には、正体が分からない虫がいる。友人へのあこがれ、家族との関係、知らなかった自分への困惑。さまざまな物語がまじわりあい、一つのたたかいに向かっていく!
内容説明
夏休みの終わり、バスを降りていった友人が失踪した。彼女の父親が学校にもってきた昆虫標本には、正体が分からない虫がいる。友人へのあこがれ、家族との関係、知らなかった自分への困惑。さまざまな物語がまじわりあい、一つのたたかいに向かっていく!
著者等紹介
佐藤いつ子[サトウイツコ]
青山学院大学文学部卒業。IT企業勤務後、創作活動開始。『キャプテンマークと銭湯と』『ソノリティ はじまりのうた』はJapanese Children’s Books(JBBY選 海外にも紹介したい子どもの本)に選定
かない[カナイ]
イラストレーター。JIA Illustration Award 2022で銀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
76
児童書。児童書の皮を被ったホラーかも▽夏休みの終わりにバスを降りた萌子が失踪した。失踪直前まで一緒にいたりおんは思い悩む。りおんの姉が高校で不良になってしまい、母は姉にかかりきりでりおんの顔も見てくれない▽姉のグレ方が非常に昭和くさい。虫が苦手な人はご注意ください。半端なホラー感で残念、なんの呪いでしょうか?すっきりしません。2024.5刊2025/01/02
雪丸 風人
14
ちょっぴりホラーな物語に、子どもたちに届いて欲しい大切な要素が盛り込まれていますね。キャラが違う2人の小5女子がメインですが、少年や高校生の姉視点のパートもあって、予想していなかった奥の深さ。複数の変貌にまつわる話が絡み合うように展開し、最後には教訓を交えながら見事にほぐれていきます。私は、姉の冷え切った心が旧友と親交を温める中で解き放たれてゆく章が好きですね。つらいときにどうしたら心が軽くなり、人にも自分にも優しくなれるのか?その答えはきっとこの物語が教えてくれるでしょう。(対象年齢は10歳以上かな?)2024/07/29
鳩羽
6
父親に勧められ、萌子は夏休みの宿題に昆虫標本を作製する。虫なんて気持ち悪いしちょっと嫌だと思っていたのに、男子がアリジゴクの巣にアリを落としているのを見て、自分もやってみたいと萌子は思う。萌子はアリジゴクを探しに行くが…。萌子と、その友達のりおん、クラスの男子山内、りおんの姉の小夏がそれぞれに抱える悩みや問題に、アリジゴクの変身、カフカの『変身』を重ね合わせた、気味の悪さと怖さを混ぜ合わせたような連作集。奇妙な出来事が現実世界に侵食しているのが恐ろしく、現実の問題も生々しいので、生きるのが嫌になりそう。2024/07/20
イカまりこ
6
ハラハラドキドキの展開。真っ黒に日焼けした男勝りなりおんとおっとりした萌子。見た目や性格の対比だけじゃなく、二人が自分でも気づいてない自分のギャップで、外見と内面の対比にもなってた。活発なのに物語が好きだったり女子っぽいのに虫に興味わいたり。大人になると自分でも知らない自分なんてそうそう無くて、というか繰り返しの毎日で新しい自分を見つけないように目を背けてるのかもしれない。変わっていく自分や変えられない環境を乗り越え、友達を思う気持ちが爆発していく展開が激アツだった。カフカの変身がキーになってる。2024/07/10
芦屋和音
3
小5の萌子は夏休みに神社で失踪してしまう。親友のりおん、虫オタクの均(ひとし)、りおんの姉、それぞれの章から見えてくる「知らなかった自分との出会い」。学校での自分と家での自分は違う。女子に対してと男子に対しては態度が違う。全部自分で生まれ変わることもできる……。ミステリー要素ありでゾワリとする箇所に物語をぐいぐい引っ張られた。2024/11/24