内容説明
また逢いましょう、来年のいまごろに。時は、水車のようにめぐって。また逢えることを、願っています…。
著者等紹介
遠藤由実子[エンドウユミコ]
1991年生まれ、東京都三鷹市出身。学習院大学文学部ドイツ語圏文化学科卒業、同大学大学院人文科学研究科日本語日本文学専攻修了。現在は学校教員。『うつせみ屋奇譚―妖しのお宿と消えた浮世絵』(角川文庫)がデビュー作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
65
児童小説の部類に入るのでしょうが、大人も十分楽しめる作品です。主人公彼方の成長の物語を民俗的要素と悲惨な歴史を取り入れながらとても読みやすい物語になっています。戦争がテーマにあるだけに、やはり夏。夏はどうしても、日本の残念な歴史を振り返ってしまいます。次第に、その歴史観が薄れて行ってしまっている傾向は怖いことです。こうした物語で、若い方の中に少しでも根付いてくれることを望みます。2023/08/11
れもん
27
図書館本。奄美大島を訪れた彼方は、浜辺を彷徨う幽霊のルリと出会い、ルリの忘れてしまった過去の記憶を探すというお話。奄美の歴史、郷土料理、自然…『奄美大島』を知ることができる。そしてその中で、ルリの過去が明らかになっていくだけでなく、彼方自身も成長していく様子がすごくよかった。最終章はウルッとくる。児童書だけど、大人にもオススメ。2024/05/14
anne@灯れ松明の火
23
作家さんSNSご紹介。気になっていたら、新着棚で出会えた。人生のどん底と思っていた小6の夏休み、彼方(かなた)は、気分転換にと勧められ、年の離れた従兄の住む奄美大島を訪れる。そこで出会ったのは記憶をなくした幽霊少女だった……。奄美の美しい自然と哀しい歴史。少女の記憶を一緒に探しながら、彼方は諦めたはずの夢ともう一度向かい合う。少年の成長を描きながら、平和・戦争へについて考えられる良作。8月に読めて良かった。げみさんの表紙、美しい。2023/08/28
雪丸 風人
20
終盤にかけて、心に響くメッセージが、さざ波のように押し寄せてきますね~。少年が海で幽霊少女と出会う軽めの作品との予想は、いい意味で裏切られました。主人公は小6男子。夢破れてやけ気味になっていた彼が、叔父が暮らす奄美を訪れて、生涯わすれられないようなめぐり逢いをします。さまよう少女が直面した現実や、島の悲しい歴史に触れた主人公が自分を見つめ直していく展開に、気づけば夢中になっていました。今を大事に、悔いを残さず、笑って生きて欲しいというその祈り。しかと受け止めましたよ、先生。(対象年齢は11歳以上かな?)2023/09/12
麻ノ葉
16
奄美大島は沖縄ほど戦争について語られることがないので、驚くような歴史があったということを知ることができてよかった。 戦争を題材にした成長物語としても、とても素敵な本だと思う。主人公が6年生にしては大人びた考え方すぎる気もするが、久々に泣かされた本。2023/08/17