著者等紹介
安田夏菜[ヤスダカナ]
兵庫県に生まれる。「あしたも、さんかく」(のち『あしたも、さんかく毎日が落語日和』と改題し講談社より出版)で第54回講談社児童文学新人賞佳作を、『むこう岸』(講談社)で第59回日本児童文学者協会賞および貧困ジャーナリズム特別賞を受賞。『むこう岸』が国際推薦児童図書目録「ホワイト・レイブンズ」に、『セカイを科学せよ!』(講談社)が厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に選定された。日本児童文学者協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
itica
72
【YA】それはひよりが5歳の時だった。同い年のいとこのハルが家に引き取られた。発達障害のハルはまるで宇宙人。ひよりも家族も振り回されるばかり。それから10年の家族の物語は、家族それぞれの内面を丁寧に描いている。ハルも家族もしんどい。読む方もしんどい。周囲にもっと理解があれば少しは違っていたのかな。 2023/12/14
さく
19
二世帯で暮らすひよりの家に、親に捨てられたハルくんがやってきた。ハルくんは自閉症で、人の気持ちがわからない。おばあちゃんは、仕事を辞めてハルくんのお世話を一手に引き受ける。そんな、ひより家のドタバタな日常。家事を全くせず洗濯機や電子レンジの使い方すらわからないおじいちゃんには腹が立ってしまった。ひよりは、友だち関係がうまくいかず、自分だって人の気持ちがわからない、と感じる。障がいとそうじゃない人の境目はどこ?ハルくんが作るたまご焼きが美味しそう。おばあちゃんの気持ち、ちゃんとハルくんの中に入ってたね!2024/03/22
雪丸 風人
19
母に棄てられた発達障害の少年を引き取ることになった家族の物語です。人の気持ちがわからず、こだわりやパニックなどの困り感も抱える彼の存在が、何の悪気もなく一家の綻びをもたらし、危機を深刻にさせていく展開。衝撃でした。綺麗ごとでないリアルを見せつけられた気がします。ピンチで自分の役割を見いだし、がんばる少女のけなげさが救いでしたね。終盤の彼女の気づきも、決意も、素晴らしかった!なるほど人の気持ちは表面からはわからない。でも、それも悪くないと感じさせてくれる稀有な作品だと思います。(対象年齢は11歳以上かな?)2023/11/23
奏
10
母親に置き去りにされてしまった自閉スペクトラム症のハルくんが、二世帯で暮らすひよりの家にやってきた。ハルくんが来てからの家族をひよりと祖父、二人の視点で描いていく。頑固親父そのものの祖父は、愛情を上手く表せないけれど家族への気持ちは人一倍。祖父の変化していく姿にぐっとくる。また、祖母がハルくんを理解し、愛情を持って根気強く育てる姿や言葉に学ぶことがたくさん。人の気持ちがわからないのは、ハルくんだけ?と友達との関係を自問自答していくひよりの真っ直ぐさも良い。ハルくんのエピローグ、泣けました。とても良かった!2023/12/20
芦屋和音
7
二世帯住宅のひよりの家に、母に捨てられた自閉スペクトラム症のハルくんがやってきて……。人の気持ちがわからないハルくん。じゃあ自分は人の気持ちがわかっているのか?いや、人の気持ちは複雑で深いから表面しか見てないのかもしれない。ハルくんの従兄弟・ひより視点と祖父視点、交互に進むお話の中で気づかされるものが尊い。ひよりのママがキレるシーンで泣いた。一気に読まされてしまった。2023/12/08