著者等紹介
安田夏菜[ヤスダカナ]
兵庫県に生まれる。「あしたも、さんかく」(のち『あしたも、さんかく毎日が落語日和』と改題し講談社より出版)で第54回講談社児童文学新人賞佳作を、『むこう岸』(講談社)で第59回日本児童文学者協会賞および貧困ジャーナリズム特別賞を受賞。『むこう岸』が国際推薦児童図書目録「ホワイト・レイブンズ」に、『セカイを科学せよ!』(講談社)が厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に選定された。日本児童文学者協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
itica(アイコン変えました)
74
【YA】それはひよりが5歳の時だった。同い年のいとこのハルが家に引き取られた。発達障害のハルはまるで宇宙人。ひよりも家族も振り回されるばかり。それから10年の家族の物語は、家族それぞれの内面を丁寧に描いている。ハルも家族もしんどい。読む方もしんどい。周囲にもっと理解があれば少しは違っていたのかな。 2023/12/14
東谷くまみ
46
安田さんは「向こう岸」(貧困、生活保護)、本書(発達障がい)で二冊目だけど、ともすれば重く暗くなりがちなテーマをラストに希望を見せてくれることで後味良く、でもしっかり考えさせてくれる作家さんの一人だと思う。自閉スペクトラム症のハルくんを引き取り育てることになった野田家に起こる変化。小さな綻びが少しずつ大きくなる過程を丁寧に描き、先が気になり一気読み。ハルくんの特性故の行動や、家族の反応や心情もすごくリアル。戸惑いや葛藤がリアルに伝わってくる分、卵焼き祭りをきっかけに再生していく家族の姿がとても胸に響いた。2024/07/29
chiaki
34
発達障がいのハルくんを物語の中心に、友だちや家族のことがひよりとおじいちゃんの視点で語られる。友だちへの親切心が裏目に出たり、おばあちゃんもお母さんも実は昔からおじいちゃんに我慢してたり…。人の気持ちは友だちでも家族でさえも見えなくて。ハルくんを主軸にしているからか、そのもどかしさや難しさがより浮彫りになり、時に涙しながら深く共感してしまう。エピローグでハルくんが語るたくさんの「あんしん」にも感極まります。貧困やネグレクトなど織り混ぜつつも重くなりすぎず、寧ろじんわり温かくとても良い。ハルくん抱きしめたい2024/06/04
ほう
29
五歳のハルくんを置いてお母さんの麻紀は姿を消した。ハルくんは自閉症らしき障害を持っている様子。彼を取り巻く祖父母、叔母夫婦とその子どもたち。それぞれに抱えているものが形になって現れてくる。作者の伝えたい事は「アナタノキモチ」なのだという事がひしひしと伝わってくる。言葉にしないとわからないこともある、けれど言葉にしても伝わらないこともある。考えさせられる一冊だった。2024/12/04
わむう
23
二世帯同居で暮らすひよりの家に従兄弟のハルを引き取ることに。ハルの母親が置き去りにして失踪したためだ。発達障害と自閉症を患うハルを置いて逃げてしまったらしい。祖母が母親代わりとなって養育するが祖父の浩之は怒鳴ってばかり。ある日、祖母が骨折をしハルの面倒を見られなくなる。仕方なく叔母が代わりに身の回りのことをするが、障害をもつハルとの付き合い方がわからず、浩之にもイライラ。とうとう浩之1人で面倒を見るように言われる。祖母が作ってくれただし巻き卵が食べたいと言い張るため頑張って作ろうとするが・・。2024/10/11