出版社内容情報
飼いネコのニックがいなくなった! ぼくの大切な友だちやのに。事故にあったり、よそのネコとケンカしたりして、動けんようになってたらどうしよう。似顔絵入りのポスターを作ってみたけど、何枚描いても似てへんねんなぁ--。
悩む健太(ペンタ)を助けてくれたのは、車いすに乗っているクラスメイトの平野さん。健太は平野さんの「風を切って走りたい」という夢を叶えるために、運動会で奮闘する。そんな健太の日々に寄り添ってくれた、不思議な声の主とは……。
内容説明
飼いネコのニックがいなくなった!ただのネコやない、ぼくの大切な友だちなんや。もし事故にあったり、よそのネコとケンカしたりして、大ケガしてどっかで動けんようになってたらどうしよう。そや。「こんなネコをさがしています」って、似顔絵入りのポスターを作ったらどやろ?作りはじめたけど、何枚描いても似てへんねんなぁ―。
著者等紹介
風野潮[カゼノウシオ]
大阪府生まれ。第38回講談社児童文学新人賞を受賞した『ビート・キッズ』でデビュー。同作で、第36回野間児童文芸新人賞と第9回椋鳩十児童文学賞を受賞する。日本文藝家協会、日本児童文芸家協会会員。「プレアデス」同人
吉田尚令[ヨシダヒサノリ]
大阪府生まれ。絵本や書籍の挿画を中心に、イラストレーターとして活動している。『希望の牧場』(森絵都作/岩崎書店)でIBBYオナーリスト賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
70
児童書。関西弁。健太(けんた)は小さい頃に自分を「ペンタ」と言ったので両親からペンタと呼ばれている。ギターの音階の名前の『ペンタトニック』から、飼い猫は「ニック」と名付けられた。ママが切迫早産になりそうで入院し、猫のニックが行方不明になってしまう。健太は車椅子にのった同級生の平野さんに、迷い猫ポスターを作ってもらう▽妊娠中の母を気づかい、ニックの心配をする健太の頭の中に不思議な声が語りかける▽6年生最後の運動会のリレーを走りたいという平野さんの夢を、健太が手助けする▽車椅子全力疾走こけんでよかったぁ2023/06/27
はる
62
飼いネコのニックがいなくなった。必死に探すペンタだが、なかなか見つからない。そんなペンタを助けてくれたのは、車いすに乗っているクラスメイトの平野さん。ある日、ペンタに不思議な声が聞こえるようになる…。運動会でみんなと一緒に走りたいという平野さんの夢のために頑張るペンタ。ニックの行方が気になる一方、ペンタと平野さんの友情物語として爽やかです。2023/05/17
ぶんこ
37
小6になろうとする春休みに、飼い猫のニックが行方不明に。迷い猫ポスター作成を手伝ってくれた同級生の平野さんと、喘息持ちの歩君との友情と、お母さんがつわりで入院した日々が描かれていました。感動したのが、お父さんとペンタが妊娠したお母さんの負担を軽くするように奮闘するところ。お父さんのお父さんである祖父は頑固なワンマンという感じなのに、お父さんはお母さん(祖母)似なのかな。こんな家庭で育つ男の子も、将来良いお父さんになることでしょう。ニックジュニアと、生まれてきた弟陸との生活も読んでみたいな。2023/07/17
遠い日
9
幼い頃自分の名前を「健太」と言えなくて「ペンタ」と言ったことから家族間ではペンタと呼ばれる健太。飼い猫のニック探しから始まるお話。「ペンタトニック」の表記にすればギターのスケールだという。物語の通奏低音として作者の願いも感じられる。妊娠中の母の不調と入院。運動会のリレーで、車椅子ユーザーの平野さんの「風をきって走りたい」という願い。健太の奮闘が始まる。頭の中で聞こえる声と会話しながら、健太は自分の足で日々を生き切る。子どもたちの会話がすばらしい。生まれて、生きることはそれだけで奇跡なんだなと感じました。2023/06/25