出版社内容情報
唐の時代の中国のお話です。
秀才である李徴は、自尊心の高さから平凡な役人の仕事に満足出来ずに、詩で名を上げようとするも失敗。復職した時には既に友人は出世していて、李徴は「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」の為に人と交わる事が出来ない。
そんな自分に苦しんで、羞恥心のあまりに虎になってしまった李徴。
昔の友人と森の中で再会し、自身のこれまでの数奇な運命を語る。
最後に詩と妻子への計らいを託し、姿を消してしまう……。
内容説明
文豪×絵師、エモい絵本。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
40
よだかの星の意外性が面白かったので、山月記も。なんか難しい言葉の短編集、というイメージしかなかったので、手に取って仰天。これ書いた人、どこの国の人!?ていうか、これが教科書に使われていたの!?ははあ…。中国の伝説とポップなイラストとのアンバランスさに呆然としつつ、これはこれでアリかもな、と思ったり。評価が難しいけれど、正直こういう古典と現代のフュージョン企画、どんどん挑戦してほしいな。2022/10/20
きっちんきりん
6
ちょうど内容をすっかり忘れた山月記が読みたかったので、楽しいイラストの付いたシリーズが借りられてラッキー。面白く読めました。 (能書きなしで、原文ママにイラストをつけるエコトバというシリーズのようで、気に入りました) 神話みたいで簡潔で普遍的なストーリー、キレのある漢文調の文章、切なく情景が心に残るラストシーン。 これは高校生に刺さるはずだわ、と確認できました。2024/07/17
たくさん
1
李徴の虎さ加減はズタボロの匪賊のイメージがあるような虎だし自尊心とか羞恥心とか自己嫌悪を水から汚している感じだけれど、この李徴はめちゃキラキラしてるし恥ずかしそうな卑屈な感じはなくポジティブっぽく描かれていてこれはこれで色遣いといい暗い話を明るく教養的にとらえていい感想になるのにいいかもしれないけど、個人的にはミスマッチ感が少しある。エコトバの本は面白い試みで楽しい。どんどん出てほしいが文章に比べて値段が結構するのが悩みどころ。全部そろえたりしたいね。2022/12/28