内容説明
中学のスタートはぼくには大きな壁だった。「Fができるようになったら、教えてやるよ」と兄ちゃんは、そんなぼくにギターをくれた。Fってなんだ?ぼくはギターコードを覚えはじめた。ある日、クラスのカイト君が、「おれたち、バンドできんじゃない」と言いだした。ホットケが、「あいつがいたら、最強かも」と言って、ぼくたちの物語が始まった。
著者等紹介
升井純子[マスイジュンコ]
1957年、北海道札幌市に生まれる。北海道教育大学卒業。小学校教諭をつとめた後、童話・児童文学を書きはじめる。『爪の中の魚』(文渓堂)で第1回ぶんけい創作児童文学賞佳作、『空打ちブルース』(講談社)で第51回講談社児童文学新人賞受賞。日本児童文学者協会会員。北海道子どもの本連絡会会員。「季節風」「まほうのえんぴつ」同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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美紀ちゃん
69
中学校に入ったばかりのドキドキと、だんだん成長していくワクワク。 お兄ちゃんが優しい。 仲間と一緒にバンドにハマる様子も楽しい。2021/08/20
へくとぱすかる
50
Fはむずかしい。力を入れるコツがわかるまで、確かに最初の難関だろう。それまでに指にマメもできるだろうけど、そこをあきらめないで練習できるか。中学生になるのを機会に兄がくれたギターが、偶然が重なるようにして、人間関係を生んでいく。ゆるやかながらまとまってきたグループに、なぜか少しだけ手を貸してくれる先生がなかなか粋だ。その理由が学校という存在の、本来持っているプラスの面を感じさせてくれる。もちろんクラスメートそれぞれのかかえる問題もかいま見える。だけど、少しずつ変わっていく予感がする一年生の「一歩前進」。2022/10/19
杏子
18
中学になってうまくいかないことの連続。あると思う。そんな中で兄ちゃんからもらったギターで、仲間とバンドを組んで、音楽をする。たった一曲、文化祭の幕間にやっただけだったけど。爽やかな風が吹いた感じ。あとがきに作者の思い出話し。そこから生まれた物語。2021/10/29
マツユキ
12
兄が、大学進学で家を出た。中学生になった弟の直大は、学校に馴染めず、家に帰って、兄からもらったギターの練習をしていた。音楽室の掃除をしていて、同級生と盛り上がり…。 あっさり読み終わっちゃいましたが、音楽の喜びが伝わってきました。それだけで十分。家族がいる、友達がいるというのは、当たり前じゃないんだね。意外と似た者同士な兄弟が愛しい。私もかつては中学生だった。娘も来年、中学かぁ。2021/10/26
joyjoy
11
「Fができるようになったら、教えてやるよ」。ギターをくれた兄ちゃんが言う。Fってなんだろう?から始まったけれど、チョクはFを練習するうちに、彼にとってのFを見つけられたね。 ♪ちっともできない、ぜんぜんできないFー Fでつまずく時期もある。自分の中学時代も、Fは大きな壁だったなぁ。 「おぉ。やってみろやってみろ。ちっちゃな〈できた〉をかき集めるんだぞ」。兄ちゃんの言葉に私自身も励まされる。 2021/12/06
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