著者等紹介
中山聖子[ナカヤマセイコ]
1967年、山口県に生まれる。「夏への帰り道」(のち『三人だけの山村留学』として学習研究社にて刊行)で小川未明文学賞大賞、「チョコミント」(のち『チョコミント』として学習研究社にて刊行)でさきがけ文学賞、「コスモス」(のち『奇跡の犬 コスモスにありがとう』として角川学芸出版にて刊行)で角川学芸児童文学賞を受賞。日本児童文芸家協会・日本文学者協会会員
岡本よしろう[オカモトヨシロウ]
1973年、山口県に生まれる。武蔵野美術大学油絵科卒業。絵画のほか、立体やインスタレーションなど、幅広く創作活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はる
57
とても繊細な物語。主人公の少女の心の揺れが丁寧な筆致で描かれた素敵なお話。母親は自分より兄のほうが大事。親友は転校生に取られてしまう。つらい…。自分の存在意義に悩む少女だが、周りの人たちもまた、それぞれが悩み苦しみ、一生懸命生きていることが分かってくる。短い物語だけれど印象的な場面が多かった。ラストの親友とのやりとりの場面が好き。2021/04/25
モモ
49
小学5年生の睦子は自分の名前が気に入らない。母に聞いた名前の由来が3歳上の兄と仲良く育ってほしいからと言われたからだ。なんでも兄優先の母に悲しい思いを抱く睦子。母はいつもピリピリして、くじけやすい。そんな母と向かい合う兄妹。子どもが母を良い意味であきらめ、暮らしていく。なんだか私も、この母に当てはまるところがある気がして身につまされた。つい上の子ばかりに目がいくこともある。一人一人大切に、明るく、たくましく子どもに接していきたい。中山聖子さんの本は、いつも心に寄り添ってくれる話が多くて好きだ。2020/03/31
izw
11
5年生の睦子という地味な名前の女の子が主人公、兄との関係、母親、父親、叔父さんとの関係、友達との関係が、微妙で、葛藤、心理描写がおもしろい。児童書ではあるけど、大人としても読みごたえがある作品だと思う。2020/07/17
はなびや
9
『この景色をさがして』を読んだ時にもそう思ったが、本当に繊細な子どもの気持ちを丁寧に描く作家さん。この作品にも身近な人の死が描かれている。中山さんが描く風景は、私が子どもの時に見た風景と近似している。愚痴を長電話で話す母親の姿や、友だち関係が微妙に変わっていきことなど。地縁・血縁の濃い地方都市で生活する息苦しさ。丁寧な子どもの描写には、岩瀬成子さんにも通じるものを感じた。2020/08/16
びすけっと
9
2020年1月刊。図書館新刊の棚での出会い本。あれ?と思って開いたら、そうそう「べんり屋、寺岡」シリーズの作者さんの作品でした。自分は母に認められていない、通う学校でも居心地があまりよくない・・・。自分の立ち位置に困り、もがくことがありますが、近いところに護ってくれる人っているのですよ。この作品では伯父ばかりではなく、兄、父もそうなのではないかなと感じました。児童書ですが、かなり深い内容と思う一冊です。2020/03/20
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