内容説明
山あいの小さな小学校に、差し出し人の名前のない手紙がとどいたのは、サクラの花がちらほらとさきだした一九七四年四月。「毎月、本代を送ります。」子どもたちは、月に一回本代を送ってくれる「おじさん」へ、ありがとうを伝えるために、想像した「おじさん」の似顔絵をかきはじめます。小学中級から。
目次
1 みどりの森の赤丸シール
2 春にやってきた手紙
3 二十四冊からはじまった
4 ありがとうを伝えよう!
5 そのわけが知りたい
6 引きつがれ、読みつがれ
7 おじさん登場!?
8 秋にとびらを開いたら
9 いつまでもわすれない
著者等紹介
深山さくら[ミヤマサクラ]
山形県生まれ。『おまけのオバケはおっチョコちょい』(旺文社)でデビュー。『かえるのじいさまとあめんぼおはな』(教育画劇)で第19回ひろすけ童話賞受賞。一般社団法人日本児童文芸家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やも
92
ニュースで見て、とってもいい話で忘れられない話がありました。それがまさか本になっていたとは!その話とは、匿名で40年間、出身地の小学校に手紙と共に本代を寄付してきた鶴岡のおじさんの話。地域に受けた恩を地域に返したいとの想いで始められたそうです。手紙の数は500通を越え、本代としてのお金は220万円。おじさん文庫として買った本の冊数は1400冊を超えたそうです。中々出来ることじゃありません。おじさん文庫には親子2代で読まれている本もあったそうです。おじさん文庫の温かさが、皆の心にずっと残りますように🌱2023/05/10
バニラ風味
18
山あいの小さな小学校には、毎月、本をうためのお金が届きます。子どもたちは、そのお金で買った本を読み、読書の楽しさ、大切さを知りました。と同時に、お金を送ってくれる顔も名前も知らないおじさんのことが気になり、おじさんの顔を想像して絵を描いたり、おじさんに向けての手紙を書いたりしますが、おじさんはなかなか会いにきてくれません。今はなき、鶴岡市立羽黒第4小学校で実際にあったお話です。その活動は42年間も続いたそう。おじさん心も見た目も、ダンディ。心がじーんとあたたまりました。2018/11/24
ぽけっとももんが
9
おじさんほんとうにありがとう。最近こそ学校図書館の整備が進んでいるとはいえ、わたしが小学校のころの図書室なんて粗末なものだった。田舎では読書の大切さが語られることもなかったし、本を読むくらいなら外で遊べと教育されていた時代。毎月届く謎の人物からの篤志という「物語」のある本たちは、どれだけこどもたちをわくわくさせたことだろう。そして毎月毎月決まって本代を送り続けるということがどれだけ大変なことか。そしてなるほど徳のある人とはこんな品のある「おじさん」なのかとしみじみ納得。2019/08/13
頼ちゃん
8
こんなこと、なかなかできることじゃない。すごいなぁ。伝説だね。2019/06/24
Mipyu
6
子どもたちに手紙と一緒に毎月本代を届けることで地域にご恩返しとは何て素敵なんだろう!それを42年も続けるのは並大抵のことではない。頭が下がります。また、おじさんの思いを受けとめ、子どもたちが感謝の思いを育める環境を作った学校の先生方も素晴らしいと思った。石井桃子さんが子どもの頃の読書体験の大切さについて「大人になったあなたを支えるのは子どもの頃のあなたです」とおっしゃったそうですが、おじさんの心のこもった本を読んだ子どもたちの体験はきっと大人になっていろんなことを乗り越える力になっているのではと思う。2021/12/17