内容説明
ぼくは金魚鉢のそうじを習った。ジャンポール・サルトルを茶こしですくい、水を入れたスープ皿にうつして、金魚鉢の中のちょっとくさい、よごれた水を取りかえるんだ。それをどうしてもぼくにさせたがったのは、お母さんの婚約者のジャンポールだった。「きみの魚だろ?きみがえさやって、金魚鉢のそうじもするんだぞ!」ジャンポールは、まるでぼくにおしおきでもするみたいに言ったっけ。あの人は意地悪ってわけじゃない。ただ…。小学中級から。
著者等紹介
スマッジャ,ブリジット[スマッジャ,ブリジット][Smadja,Brigitte]
1955年チュニジアに生まれる。高等師範学校を卒業し、現在高校の国語教師。そのかたわら著作に励む。作品は幼年からヤング・アダルトまで幅広く、ほとんどがリアルな作風で書かれている
末松氷海子[スエマツヒミコ]
1937年兵庫県に生まれる。早稲田大学政経学部新聞学科卒業後、フランスのリール市カトリック大学新聞学部に留学。現在は大学で教えるかたわら、フランスの子どもの本の研究・翻訳をてがける
小泉るみ子[コイズミルミコ]
1950年北海道に生まれる。早稲田大学文学部を卒業後、本格的に絵を志す。日本児童出版美術家連盟会員
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感想・レビュー
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ybhkr
2
フランス人が書いたフランスの児童書。サルトルとか赤と黒とかがはやる国は児童書もなんだか哲学的…(いい意味ではなく)飛び級とかもあるんだね。日本料理やメキシコ料理の宅配もあるのかー。さすがだなフランス。イラストは日本人が描いている模様。もしかしてもともとは絵のない児童書なのかも。リサガスも含めてフランスの小学校って思ったよりも子供にとっては自由な場所ではないんだな。そしてフランス女性は思ったほど自立していないのかも。と、思ったらお母さんロシア人でしたわ。すみません。ラストはほんのり明るいかんじ。2015/08/31
話
1
大人向けに思えた。大人の勝手さ、理不尽さに子供が悩まされる。感受性の強い子ほど、苦しめられてしまうんだろうな。2014/10/29
mame
0
親の離婚、一緒に住んでいる母親と彼氏、うまくいかない毎日。複雑な環境下で、複雑なものを抱えたジュリアン。暗さ一歩手前の静けさを含んだ空気感が、読んでいる間中していた。芯のある静けさ。児童書にしては、大人っぽいと思った。2023/08/29