内容説明
「ンーモ、ンーモ。」おれが外にいることを知ったハチが、低い鼻声で、なにしよるなにしよる、とよんでいる。おれは、まっ暗けの牛小屋のほうへまわった。ハチは、ずっとおれをよんでいたのだ。「母さんとのう、けんかして家出したんよ。母さんが、親の死んだ猫の子でも飼うたらいけんいうじゃもん。」ハチの横顔にほっぺをつけて、おれは小さい声でいった。小学5年生以上。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
スターライト
5
広島県のある村の一家を舞台に、もうすぐ小学校5年生になる奥山健太の視点から生命の尊さを訴える児童書。父は出稼ぎ、母は農家のかたわら牛を飼い健太と弟の明を養っている。それだけでも大変なのに、健太たちは犬や猫を拾っては家に連れてくるので、母はいい顔をしない。早産で生まれた牛をいよいよ市に出そうというとき、その牛が病気になり、獣医は今夜が峠と診断。死ぬ前に売りに出そうとする大人、もう一晩一緒にいさせてほしいと涙ながらに訴える健太と明。ほのぼのとした中に、胸がジンと来る良書。2024/03/31
2020neko
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☆☆☆☆★4/近図。季節の本(うし)。高学年向き2008/12/29