出版社内容情報
お互いに得がたい友だった二人の交流の軌跡
店主と職人という出会いから、得がたい友人となるまでの20年間の交流。特に絵を添えた田島隆夫からの手紙は、白洲正子をなぐさめ励ました。魂と魂が響き合う二人の手紙を公開。
白洲正子へ絵を添えた便り
菜園の野菜を摘んで
新年慶賀
一筆お見舞いまで
庭の花の贈り物
裂の周辺のことを
織りの導き
十年目の返信-裂帳にて
雁信往復
大島へ藍を染めに行って
花開いた心地
西行の心境に似て
ゆるぎない生き方をみました
お悔やみ
マフラーなど織りまして
天が笑う
桜に寄せて
張り手の首
お歌に暑さ忘れて
いよいよ静かで深き御心境に
大風邪のあとで
かけがえのない時間
二人の文房具から
最後に届いた帷子
織司の余技 白洲正子
織の啓示 田島隆夫
交遊抄
内容説明
一九七六年から一九九六年までの二十年間、織司の田島隆夫から白洲正子へ宛てた手紙は百通を優に超える。その多くは余技の筆を揮ったもので、便りが届くと、白洲正子は鋏で丁寧に開封した。読み終えると封筒にじっと掌をあてて、絵の温もりを確かめるようにしたこともあったという。「目のさめるような手紙」と語り、大切に保存して、いつか一冊にまとめたい、と周囲に洩らしていた。これは、白洲正子が亡くなるまで抱き続けていた希いを汲んで生まれ出た書である。
目次
白洲正子へ絵を添えた便り(菜園の野菜を摘んで;新年慶賀;一筆お見舞いまで;庭の花の贈り物 ほか)
織りの導き(十年目の返信―裂帳にて)
雁信往復(大島へ藍を染めに行って;花開いた心地;西行の心境に似て;ゆるぎない生き方をみました ほか)