内容説明
ニュースがあれば、どこへでもかけつける新聞カメラマンのつぎなる取材地は、南のはての大陸―「南極」でした。この本は、45次南極観測隊に同行し、500日という長い時間を南極ですごすことになった新聞カメラマン、武田剛さんの記録です。その500日間とは、きびしくも美しい自然に魅了されながら、地球がかかえるさまざまな環境問題をはだで感じる日々でもありました。人類の南極観測の歩みは、半世紀をむかえましたが、南極にはいまなお、地球の過去と未来を探る多くの秘密がかくされています。カメラと記者の目が、南極の「いま」をつたえます。
目次
出発まで
「しらせ」の航海
きびしい夏作業
近すぎてこまった
しずまない太陽
南極を飛ぶ
夢のアンテナ
あたたかい夏
越冬交代
光の劇場〔ほか〕
著者等紹介
武田剛[タケダツヨシ]
1967年福岡県生まれ。立教大学文学部卒。1992年朝日新聞入社。東京、大阪、名古屋の各本社写真部などを経て、2003年11月から2005年3月まで、45次南極観測隊に同行取材した。立大山岳部時代にインドヒマラヤのナンダコート峰(6867メートル)などに登頂。2001年から2002年には内戦終結後のアフガニスタン、2003年にはイラク戦争を報道した。現在、朝日新聞東京本社写真センター記者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶんこ
48
南極探検記は数冊既読ですが、こちらは探検というほどの緊迫感はありませんでした。新聞社のカメラマンの著者が初めての南極のでの500日間を綴った記録で、さすがカメラマンだけに数々の写真が素晴らしいです。昭和基地が南極大陸から離れた島で、海氷がなくなる夏には雪上車で大陸に行けなくなる、「しらせ」の船員は全員海上自衛隊員、南極は3〜4000メートル級の氷山でもあるので、高地順応や意識が必要、300トンあまりもの基地ゴミが残されている等々初めて知る知識も多く、読み易い文体もあって面白かったです。2016/02/17
かいゆう
31
2003年11月、45次南極観測隊の報道カメラマンとして約500日間南極で過ごした日々を書いた体験記。南極観測隊は気象観測士、整備士、獣医、医師、大工、料理人など様々な専門家の集まり。建設作業や水の確保は全員の共同作業。それぞれ専門の仕事もこなし、お互いにその大変さや責任を持って生きることの大切さを感じるから、みんなの為に自分にできることをしている。内陸はマイナス60度にもなる世界。けれど確実に温暖化が進んでいる事が分かる。南極の廃棄ゴミも解消していくといいな。唯一国境のない大陸を守っていけますように。2016/04/15
らぴ
18
南極への冒険譚はさんざん読んできたが、現在の南極がどうなっているのかは知らない。写真が多く、南極のスペシャリストというわけではない、新聞社の一カメラマンが覗いた南極の生活を描いたこの本には、驚きがたくさん。南極観測隊で唯一亡くなった隊員が、基地のほんの100メートル先でホワイトアウト現象によって迷っての凍死だったという事実や、人を怖がらないペンギンの話など、興味深い。2010/05/05
メープル
17
『南極コレクション』の写真が良かったので、こちらも借りてみました。 南極観測隊の生活。お金を使わない。観測隊員の人数は限られているので、アンテナの建設を、大学教授、研究者、医師、調理師、などの建設素人が作業を手伝う。お互い協力し合う生活。本来人との繋りはこういうものなんだろうなぁ。 太陽の力。1ヵ月半の極夜。太陽のない生活とはどんなものなのか。 武田さんの言葉、写真。とても分かりやすかった。2020/09/19
ぐりぐら
9
長男部屋から発掘。児童書ですが、昭和基地での生活、観測船「しらせ」の事、環境問題など大人が読んでも興味深い。2014/11/16