出版社内容情報
船宿『篠屋』の住み込み女中をしている綾。人と船の行き交う神田柳橋に巻き起こる事件を、しっとりとした筆致で描く時代推理 第10弾!
内容説明
「兄の幸太郎は生きている」と篠屋の主・富五郎は突然、綾に告げる。住み込み女中となって働きながら兄を探していた綾は、微かな手掛かりを頼りに兄の痕跡を追う。そんな折、お忍びで綾の前に現われた天璋院(篤姫)がもたらした天佑とも思える話と「その意気じゃ、今度こそ逃してはならんぞ!」の言葉に励まされ、三田聖坂に向かう綾。果たして…。(第四話「天璋院様お成り」)
著者等紹介
森真沙子[モリマサコ]
奈良女子大学文学部卒業後、雑誌、週刊誌の記者を経て1979年『バラード・イン・ブルー』で第33回小説現代新人賞を受賞し、文壇デビュー。以後、近代史や現代史に材を採ったミステリー作品で活躍し、近年では中世、古代史にも範囲を広げ、歴史推理や歴史伝奇作品を精力的に発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
53
切られ与三とお富さん、アーネスト・サトウ、天璋院篤姫など有名人続々登場。やっと綾の兄の行方が分かったけれどまだ会えない。明治になって「篠屋」にどういう変化があったのかという面からの時代感も知りたい。2023/09/02
ひさか
19
2023年9月二見時代小説文庫刊。書き下ろし。シリーズ10作目。お富さん地獄めぐり、花盗っ人、魔物,東京を走る、天璋院様お成り、の4つの連作短編。天璋院様お成りで、綾さんの兄の消息が知れたというのにたいした展開にもならず、こうなるとこのお話はいったい何なのだろう?と思うほどの迷走ぶりが悲しく面白い。シリーズ6作目に篤姫様お成りというのがあって、それと対をなす楽しいタイトルなんだけどなぁ。2023/09/22
goodchoice
3
そこまでつかんだ兄の消息がまた遠くへ行く。人生とは無情の連続なのか。2023/11/05
さ〜くん
2
”謙譲の美徳も日本人の怠慢”考えさせられる深い内容でした。でも、綾のお人好し過ぎる人格のゆえに、誰からも愛され味方になってくれたからこそ兄の足取りに迫ることが出来たのだと思います。2023/12/10