出版社内容情報
算術と数字にときめくかけだし女官の吉備。軽やかな算木さばきで都や後宮で起きる問題を、蔵人の匡親や惟家と解決する平安算術物語。
内容説明
算術は正しいことに使えば、人の命だって救える―五月雨の日、吉備にそう教えてくれた「橘の君」。あれから幾年。成長した吉備は算術への熱い想いを胸に女官として後宮へ出仕する。蔵人の源匡親、藤原惟家との出会いをきっかけに都や後宮で起きる問題を算術で解決する吉備だが、数の扱いに正しさを求める一方、己を取り巻く甘酸っぱい恋の予感には及び腰で…。かけだし女官の算木が軽やかに翻る、平安算術物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
54
道隆の娘定子の入内間もない時代の物語。18歳にもなっているのに算術オタクの和子(吉備)を心配した両親は上手く言いくるめて吉備を出仕させた。算木の出番もない後宮勤めに不満を持つ日々を過ごしていたが、薫香の数を発端に華麗な算木捌きを披露して型破りな女房生活を送ることになる。一方、常に傍にいる蔵人二人のうち惟家の香りが懐かしく甘酸っぱい記憶を蘇らせる。惟家は実は定子の長兄・道頼で美しく優しい人柄だったらしく落窪物語でヒロインを救うヒーローのモデルでもある。算術から土木の話などが展開して楽しく読了。2023/05/23
よっしー
20
遠藤さんの平安シリーズ。今回のテーマは算術。算術ってきちんと導き出したら綺麗に解が出るから面白いんですよね。私も和子と同じような思考なので、その気持ちは分かります。といっても、日常の全てに算術を当てはめるほどのめり込んでは無かったですが(笑 恋愛に関しては超初心者な感じもまた面白いですね。実際には女性がこんなに活躍…は難しいと思いますが、楽しく読めました。今後、恋愛へと発展するのかも気になりますね。2023/03/18
tomtom
17
算額にしか興味が向かない少女がどんな風になるのか楽しみ。そろばんは平安時代にはなかったみたいだけど、同じようなものはすでにあったことに驚いた。2023/01/27
bookshelf_yt07
7
【あらすじ】恋の歌よりも算術が好きな和子。行く末を案じた両親は和子を出仕させ、「吉備」なる。「算術は正しいことに使えば、人の命を救える」という、幼き日に橘の君からの言葉を胸に出仕すると、算術から遠い日々。ところが、源匡親、藤原惟家との出会いが吉備に算術をもたらすことに。【感想】算術は「答えが一つ」という意味で分かりやすい。私も昔は計算の方が得意だったから、主人公・和子の気持ちも分かる。今は恋も仕事も経験し、正解は一つと思わないが、算術的思考はあった方がいいとは思う。平安時代×算術とは新しい視点だと思った。2022/12/17
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