出版社内容情報
故あって船宿『篠屋』の住み込み女中になった綾。人と船の行き交う神田柳橋に巻き起こる事件を、しっとりとした筆致で描く時代推理
内容説明
慶応四年五月二十日、強風に陣羽織の裾をなびかせ騎馬が駆けてくる。篠屋のそばで馬を止め、ひらりと降り立った。六尺豊かな巨大漢。山岡鉄太郎であった。この三月、東征軍参謀の西郷隆盛に目通りし、江戸城無血開城の下工作に成功していた。山岡は、強風のなか横濱の軍陣病院まで益満休之助を運んでほしいという。益満は西郷の懐刀だが流れ弾を受け破傷風にやられ…。
著者等紹介
森真沙子[モリマサコ]
奈良女子大学文学部卒業後、雑誌、週刊誌の記者を経て1979年『バラード・イン・ブルー』で第33回小説現代新人賞を受賞し、文壇デビュー。以後、近代史や現代史に材を採ったミステリー作品で活躍し、近年では中世、古代史にも範囲を広げ、歴史推理や歴史伝奇作品を精力的に発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
48
このシリーズでは久々にしっとりしたお話で満足感があった。作者は山岡鉄太郎好きなんだろうなあと思いつつ読了。売れっ子芸者が10何人目かの妾として身請けされたのは本人にとって幸せなのだろうか。三味線と歌で生きて好きな男と所帯を持つ方が幸せなのでは?2022/04/29
ひさか
18
2022年5月二見時代小説文庫刊。書き下ろし。シリーズ8作目。運命の赤い糸 、柳橋落ちた、ひき蛙、千鳥の鳴く夜、夜明けの舟唄、の5つの連作短編。江戸城無血開城が時代を感じさせるが、篠屋の人々や綾とは直接関係のない展開で共感は少ない。2022/12/11
goodchoice
1
このシリーズもはや8作目。時代は江戸から明治へと流れる中、主人公を含め庶民は戸惑うばかり。肝心の柳橋も落とされ、心の拠り所を失った感がある。2022/07/02