出版社内容情報
昔から妖怪や化け物扱いされてきた生き物たちは、なぜ人々に間違えられてしまったのだろうか。その謎と生態を解き明かす生き物エッセイ
内容説明
彼らはなぜ生まれ、恐れられたのか。異形の者たちの本当の姿と人間の豊かな想像力に関する55のエッセイ。
目次
サイクロプス―凶暴な一つ目の巨人
小豆洗い―音はすれども姿は見えず
かくれ座頭―子どもを異空間に連れさる
デス・ウォッチ―死へのカウントダウンが始まる
鵺―不気味な声を発するキメラ
雷獣―空を駆け雷光を走らせる
管狐―人に取り憑き祟り殺す
かまいたち―突如手足の皮膚を切り裂く
化け狸―昔から人を化かしてきた
狢―目も鼻も口もない顔〔ほか〕
著者等紹介
稲垣栄洋[イナガキヒデヒロ]
1968年静岡県生まれ。静岡大学大学院農学研究科教授。農学博士。専門は雑草生態学。岡山大学大学院農学研究科修了後、農林水産省に入省、静岡県農林技術研究所上席研究員などを経て、現職
河合真維[カワイマイ]
イラストレーター、画家。愛知県名古屋市出身。2013年、愛知県立芸術大学デザイン専攻卒業。’15年に同大学美術研究科博士前期課程デザイン領域修了。植物や動物、少女などを主なモチーフに、ペンやアクリルガッシュ、またはデジタルの手法を用いてファンタジーの世界を描く。主に書籍の装画、挿絵などで活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
62
いわゆる「妖怪」の正体を身近な動物たちに求める。説明を聞けば、なるほどと思えるものが多い。かつての「と学会」の本と同じような構成になっているので、トンデモ・シリーズのノリが楽しい。注目すべきは、その動物が妖怪とされた経緯。これはまさに人間と動物のあいだのズレであるが、正体がわかったにもかかわらず、妖怪としての伝承が残ってしまい、現代にいたって、水木しげるのマンガに描かれたりする(笑)歴史的な流れの構造がよくわかる。その一方でUMAについては、未解明な部分があることを述べて、判断を保留し余韻を残している。2021/12/01
けんとまん1007
47
軽く読める読み物として、気分転換によい。なるほどね~、そんなふうに受けとるのかもね。それにしても、いろいろあるものだなあ~、しかも、耳にしたことがあるのが多いのが、何ともはや。2022/04/05
マツユキ
23
妖怪や、ファンタジー好きとしては、がっかりな部分もあるけれど、姿を見ることができない虫や鳥(確かに怖い)、今では当たり前の動物たちなど(ユニコーン!)、世界の広さを知ったような気がします。2022/06/10
香菜子(かなこ・Kanako)
17
モンスターにされた生き物たち 妖怪・怪物の正体とは?。稲垣 栄洋先生の著書。人間の想像力は無限。人間の想像力はすごい。人間の想像力でモンスターにされた生き物たちや妖怪・怪物はたくさんいるけれどどれも個性的で楽しい。本当に怖くて仕方のないモンスターにされた生き物たちや妖怪・怪物もいればどこかかわいらしいモンスターにされた生き物たちや妖怪・怪物もいる。2023/08/18
A Y
9
幽霊の正体見たり枯れ尾花、恐れられた存在は実は何だったのか。こんな面白いミステリーはない!と思い図書館で借りてきた。題名から分かるように正体が生き物であること前提の一説。ん?と思うのもあり。モモンガ多過ぎじゃね?と思ったり。読みながらワクワクはしたけど、全てナルホド!とはならなかった。昔は夜が月明かりもなければ真っ暗だから、聴覚が研ぎ澄まされる。音から想像したり、夢に出てきたりしただろう。それはそれで楽しんだり恐れたり出来た。現代は闇もなく情報もすぐ手に入る。想像する機会が奪われてるなぁと思う。2023/06/06