出版社内容情報
死体の口から
こぼれ落ちる呪詛の言葉――。
祖母の葬儀の帰り、美彌子がふと見かけた小山の上に立つ歪な人影。
その時、左腕を襲った激痛は惨劇のはじまりだった。
母との確執のために、疎遠だった祖母が亡くなり、葬式に列席するために奈良郊外までやってきた大学生・橘美彌子。
祖母を弔ったあとに見かけたのは歪な人影だった。
その後、身のまわりの人々が首に赤い痣を浮かべ、次々に凄惨な死を遂げていく。
彼らは死した後、美彌子に「ワギモハイズコ」という言葉を遺す。先輩の高野の手を借りその言葉の意味を追うが――
内容説明
母との確執のために、疎遠だった祖母が亡くなり、葬式に列席するために奈良郊外までやってきた大学生・橘美彌子。祖母を弔ったあとに見かけたのは歪な人影だった。その後、身のまわりの人々が首に赤い痣を浮かべ、次々に凄惨な死を遂げていく。彼らは死した後、美彌子に「ワギモハイズコ」という言葉を遺す。先輩の高野の手を借りその言葉の意味を追うが―
著者等紹介
竹林七草[タケバヤシナナクサ]
1976年生。兼業作家。第六回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
64
伝奇ホラー。冒頭こそ不審死や怪異が連続して起き導入は十分なのだけど、残り三分の二が歴史の考察だけに当てられており一気にテンションが下がる。こういう歴史と直結した伝奇は名作が多々あるのだけど、それは物語と歴史の融合が上手い事書かれているからであって、本書の場合それぞれが上手い事噛み合っていない感じがする。というか物語の方が従になっていて本末転倒というか。あと歴史のスケールの割には怪異自体のスケールが小さいというか。大風呂敷を広げれそうな題材なのに結局畳んだままという印象を受ける色々残念な所がある一冊でした。2022/02/18
sin
63
祖母の葬式で見た歪な人影、突然、腕に刻まれた“蛭児”の文字…次々に起こる友人知人の不審死、謂れの解らない怪異に恐怖する彼女に手を差し伸べるのは霊も呪いも信じない先輩…彼の提案で人影の問いかける「ワギモハイズコ」の“吾妹”を探しに行くのだが、その彼にも死の徴が現れて…迫り来るタイムリミットを気遣う彼女と霊的なものを信じず平然とした彼、伝承から探索した蛭児の正体、そして記紀編纂と持統天皇の真意とは…飛鳥の歴史を紐解いた先に果たして“吾妹”を見つけ出す事は叶うのか?そして彼女は先輩を救うことが出来るのだろうか?2022/07/12
眠る山猫屋
60
蛭児の二転三転する解釈は圧巻だった。そういう説があるのだろうか、オリジナルだとしたら凄い才能。持統天皇の辺りの史実も不勉強にして、感心しきり。部屋が異界化していく様子も怖かったが、高野先輩始め、キャラクターのクセがステロタイプっぽかったか?これから進化していきそうな作者さんだと思う。2022/10/26
よっち
32
母との確執のために疎遠だった祖母が亡くなり、葬式に列席するため奈良郊外にやってきた大学生・美彌子。ふと小山の上に立つ歪な人影を見かけてから、身のまわりの人々が次々に凄惨な死を遂げてゆくホラーミステリ。左腕を襲った激痛をきっかけに、首に赤い痣を浮かべた周囲の人々が次々と悲惨な死を遂げ、美彌子に遺す「ワギモハイズコ」という言葉。危機が迫る高野先輩の手も借りその言葉の意味を追う展開でしたけど、真相に近づいたと思えば新たな事実が判明して、焦燥を募らせる彼女にもたらされる諦念交じりの結末がまた印象に残る物語でした。2021/09/21
雨
30
思ったよりグロくなかった。ラストの救われなさが逆に良かったと思う。安易なハッピーエンドだと物足りない。2021/12/10