出版社内容情報
〈怪談と結婚した女〉と呼ばれる人気怪談師が蒐集する、日常の余白にふと現れた不思議な話。実話怪談集・第2弾。
内容説明
気味の悪い不条理、強力な呪い、温かい感触、障る場所…。“怪談と結婚した女”が蒐集した実話怪談。
目次
街の怪(お城;マジック ほか)
家の怪(こけし;海の道 ほか)
食の怪(酒;訪問 ほか)
野の怪(感染;深夜高速 ほか)
人の怪(祖父の山;すきま ほか)
著者等紹介
深津さくら[フカツサクラ]
京都造形芸術大学芸術学部卒。大学時代は美術と実話怪談を研究。2018年より怪談師として活動を開始。現在は関西を中心にイベント、メディア出演、怪異をモチーフにした作品制作などを行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キンモクセイ
49
実話怪談慣れをしているのか読んでいても怖くない。怪異慣れもある意味怖いことかもしれない。「放課後」友人とプリクラを撮ったら、笑顔の2人の間に面長の男性の真っ白い顔が映し出されていた。その姿は旧日本軍の兵隊の姿だ。「フィギュア」苦労して集めたフィギュアたちは、どこかを指すポーズばかり。押し入れの襖に集中している。毛筆で書かれた除霊のお札が貼ってあった。「恋人たち」彼の背中を見ると黒い文字が出てきた。〝とったら殺す〟〝愛してるよ〟〝私だけのもの〟〝誰にも渡さない〟生霊よりも平然と二股をしている男性が許せない。2021/08/30
mariann
28
可愛い猫の表紙。けれど別に猫が主体の話ではなく、怪談話だ。作者さんがコロナ禍の中集められた小話がギュッと詰まっている。ゾッとするものからほんわかする話まで。私は1作目の作者さん自身の話が怖かったな。あとは緑の彼。是非缶ジュースを買ってあげて欲しかった。2022/03/12
kana
26
まるで奇想短篇集のような趣の実話怪談集。というといわゆるホラー映画的な、スリルあふれる展開やおどろおどろしい存在が思い浮かぶけれど、実際には「怖い」よりもなぜか「いとおしい」という感情が込み上げてくるような読み心地。表紙のイラストは著者によるものですがそのほわんとした雰囲気の方が近いかもしれません。それは怪談の一つ一つが個々の大切な体験であり、心の片隅にしまってきた物語であり、その想いを汲み、受け継ぐ形で深津さくらさんが言葉を紡いでいるからなのかなと思いました。2024/10/19
mittsko
16
怪談のセンスが一級であるのはもちろん、なにより、この品のある文体よ…!(*´ω`*) 純文学への傾きすら感じさせる 実話怪談の性質上、ショートショートに収まるしかないのだが、それでも「怪談文藝」と呼びたくなる一冊だとボクは思う なお、海外にまつわる怪談がいくつか散りばめられているのが印象にのこった 好いトライだと思う ※ 「留学」「酒」「訪問」「家族旅行」「踏む」「瞑目」、臨界怪談(独自概念)に近い、重要作と思う! ※ 「マジック」「清掃」「朝の海」「幽閉」「すきま」「遭遇」、すごく面白い、ゾッとした2025/02/01
アカツキ
13
「怪談びたり」の続編。実話怪談43話収録。ギャー!幽霊!!という話はほとんどなくて、なんだか不思議なんだかゾワっとする話が淡々と語られる。いつ自分が接触してもおかしくないと感じるような話ばかりでじんわり恐怖が積もっていくタイプの本。怖いばかりでなくところどころ優しさや思いやりを感じる話があるのが良い。2021/08/30