出版社内容情報
旅籠付きの小料理屋のどか屋。今日ものどか屋に、さまざまな人々が訪れる!
内容説明
侍を捨て料理人となった時吉とおちよの、旅籠付き小料理屋のどか屋を手伝うおしんは、出奔中の父を両国橋で見かけた。声をかけたが逃げ去られた。父は浮世絵版木彫りの職人だったが、故あって家を捨てていた。おしんの弟は大工修業中に大火にあい、亡くなっていた。江戸に戻った父が目にしたのは、十七歳で死んだ息子が遺した、焼け焦げた鉋だった。鉋を懐にした父は…。
著者等紹介
倉阪鬼一郎[クラサカキイチロウ]
1960年、三重県伊賀市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。印刷会社勤務を経て1998年より専業作家。ミステリー、ホラー、幻想、ユーモアなど、多岐にわたる作品を精力的に発表する。2008年「火盗改香坂主税 影斬り」(双葉文庫)で時代小説家としてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たんぽぽ
20
前巻で「安定のマンネリ」と書いたような気がしますが、今回もそんな感じ。 毎週見ている人情時代劇がお約束のストーリーでめでたしめでたし…と終わるって感じで嫌じゃありません。 成長していく千ちゃんが可愛い。2016/07/17
はにこ
16
大きな事件も無く、ただただほっこり。父親を探していたおしんちゃんは新たな道を、おそめちゃんは家族を得る。のどか屋の娘達は新たな一歩を踏み出し始めた。足の悪い千ちゃんはだんだん良くなって、寺子屋も楽しくしているようでメチャクチャ和む。物事を始めるのに遅すぎることはない、胸に刻もう。2020/08/12
ううち
15
第17弾。16巻をすっ飛ばしてしまった…まだ買ってないのに。小料理屋兼宿屋の商いもなかなかうまくいっている模様。夫婦仲も良く、千吉も成長してきてほのぼのとして穏やか。表題にもある『ほまれの指』ってとても素敵だと思う。2017/05/05
izw
14
鑿で親方を刺し、殺してしまったと思い込んで失踪した父親を見つけ、親方が無事であることを伝える。親方は許してくれるが、一度血で穢した鑿を持つことは神が許さない、という理屈は職業に誇りを持つ江戸の職人気質かもしれない、と思ってしまう。その解決策として、娘が版木職人に弟子入りし、父親は大火で死んだ息子の後を継いで大工に弟子入りする、という状況はありそうもないと思いながら、なんとなく涙をさそってしまう。2017/03/21
ざるめ
13
のどか屋で働く、おしんちゃんとその父親の新たな門出と、多助とおそめちゃんの結婚、それに時吉、おちよ夫婦の一人息子 千吉の成長と今回はほっこりする話(*´-`)千吉が通う寺子屋の先生がおっしゃった「人は死んでも終わりではありません。その思いは、さまざまなかたちで、後に残された者に伝えられていくのです」に感激!今回の話そのものだなぁ(^^)2016/11/05