出版社内容情報
夫婦になった時吉とおちよ。新しいのどか屋で心の深奥にしみわたる一椀、一膳を今日も供し続ける。シリーズ第5弾
内容説明
江戸の大火で店を消失した「のどか屋」の時吉とおちよは、さまざまな辛苦の末、神田岩本町に新たな小料理の店を開くことができた。やがて新しい客もつきはじめた頃、同じ町内に異形の料理人が店開きし、呑み放題、食べ放題の無料大料理で「のどか屋」を潰しにかかる。そして、お互いののれんを賭けた味くらべの罠が…。その裏には札差と悪徳医者の黒い思惑が隠されていた。
著者等紹介
倉阪鬼一郎[クラサカキイチロウ]
1960年、三重県伊賀市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。印刷会社勤務を経て1998年より専業作家。ミステリー、ホラー、幻想、ユーモアなど、多岐にわたる作品を精力的に発表する。2008年「火盗改香坂主税 影斬り」(双葉文庫)で時代小説家としてデビュー、好評を博す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紫鈴
13
因縁の黄金屋が、近くに見世を開き開店から食べ放題飲み放題を続ける。後見人についている札差と医者もきな臭い。ただには勝てず閑古鳥が鳴き、ひたすら耐えるのどか屋。トドメとばかりののれんを掛けた料理対決。黄金屋金多……名前変えてるけどより嫌らしい名前に。医者と札差が出資してるんだけど、金持ちの道楽なのか?何故こんなアホな事に加担してるのかが分からない。炒飯がこの時代からあったのは驚いた。この表紙の絵がお気に入り。☆52021/12/26
ひかつば@呑ん読会堪能中
13
4を飛ばしてしまったら火事で引っ越しただけでなく夫婦になっていたとは驚いた。出される料理は相変わらず美味そうで、真面目な質屋と月に一度の見世の話は中々良かった。ただし話この二人に絡んでくる黄金屋の取ってつけたような暖簾をかけた話はそもそも必要ないのではないかと思う。 2013/09/17
はにこ
11
のどか屋がまたもやピンチ。味くらべの多助が出て来てビックリ。今度はケチャップやマヨネーズやトマト。読んでいたら意外と美味しそうだったけどね。今回も勧善懲悪、めでたしめでたし。2020/01/09
だいしょう@SR推進委員会
11
所帯を持ち穏やかに暮らしていた時吉夫婦が、料理比べで時吉に負けた女装料理人の嫌がらせに苦しめられ、またもや仕組まれた料理比べをすることに…。ほんとイヤな奴で、読んでいてイラッときた。けれど、舶来の調味料を派手に使う料理に、江戸時代の人間はこの味についていけるのか?と思ってしまった。だって、とろとろオムライスが出てくるんだもん。それより、指の間からホロリとこぼれた幸せを慈しみ、愛しい人への想いを胸に生きていく、そんな人々の姿に今回も泣けた。そして、そっと寄り添うような時吉の料理が温かみを感じて印象的だった。2012/07/10
まゆちん
10
のどか屋シリーズ第5巻。おから飯を『雪花菜飯』と呼ぶ、江戸の人は本当に粋だなぁと関心する。メインは味くらべで破れた多助の意趣返しか。仕組まれた『味くらべ』、負けると解っていても正義を貫く姿勢が気持ちいい。そして今回も長吉がかっこいい!2013/10/27