出版社内容情報
田宮流抜刀術の達人で三味線の名手、矢内栄次郎を襲う権力の魔手!吉川英治賞作家が人生と野望の深淵を鋭く描く!
内容説明
晩秋の神田川左衛門河岸で浪人が斬られ、次いで和泉橋で商家の番頭、湯島で若い職人が斬殺された。手口は袈裟懸けの一刀。犯人は武士で凄まじい剣技の主である。偶然現場に居合わせた三味線の名手で居合いの達人矢内栄次郎は、密偵の新八と共に密かに探索を開始したが、それが御徒目付の兄栄之進を危地に追いやることになった…。
著者等紹介
小杉健治[コスギケンジ]
1983年『原島弁護士の処置』でオール讀物推理小説新人賞を受賞。87年『絆』で推理作家協会賞、89年『土俵を走る殺意』で吉川英治文学新人賞を受賞。1947年、東京に生まれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chacha
9
シリーズ七。辻斬りの話。栄次郎は兄の栄之進のためと思って新八と辻斬りの犯人を追う。だが、そのことで、逆に兄は謹慎となる。武家社会は難しいですね。なんだか結果にしっくりきません。ただ兄が、崇高な心の持ち主だったことがわかったこと。縁談のその後が気になります。 2017/12/02
ひかつば@呑ん読会堪能中
7
兄弟なんだからもっと進捗状況を伝えあっていればこんなことにならなかったのに..という現代の感覚を武士に求めるのは無理だということは理解しているのだが、結局最後には真実を話すのだから... どうも今ひとつ後味が良くない。今回は「お節介も裏目に出ることがある」ということを栄次郎に経験させるための話だったのかな。2012/10/11
アンドレス
5
栄次郎江戸暦第7弾 今回はほぼ辻斬りの犯人探しがメインの話。 さすがは小杉健治さんですねぇ。ミステリー物としても一級品な上に時代小説としての面白味もあり、満足の内容でした。 兄の栄之進のカッコ良い一面も見れて良かったです。 シリーズ7にして全く飽きてはいないので、今後も読み続けていきたいと思います。2023/07/28
Western
4
読み始めれば簡単に犯人が割れそうな展開なのに、そこから二転三転と変化していく。時の流れがひっ迫した内容のはずがゆっくり流れているような感じがするのは、主人公が三味線を奏でながら日柄過ごす様子を描いているからか? シリーズ作品が多そうなので第一話に立ち返って読破したくなる作品でした。さすが小杉健治さんと感心してしまいました。 2023/12/08
ひさか
4
2012年1月刊。文庫書下ろし。シリーズ7作め。辻斬り事件のお話。栄次郎も人情家だが、その兄も負けず劣らずの人情家なんだ。兄の今後が気になります。2015/10/21