出版社内容情報
ここから私たちは何を学ぶのか。
反響をよんだ『廃墟チェルノブイリ』の後再び当地に入った著者が写す「廃墟のその後」。
史上最悪の原発事故から25年目の春。
2009年、人の姿のない街では、春の陽射しのもと、草木は伸び、花が咲いていた。
森の中にはいまだに放射線警告標識の黄色い看板が野に咲く毒花のように睨みを効かせ、発電所4号炉の石棺付近ではいまだにガイガーカウンターが無機質な電子音を響かせる。放射能が姿を変え移り変わることもなくこの地に存在しているのはどうやら紛れもない事実のようだ。
1986年の事故から今年で25年が経つというのにだ。
(「まえがき」より)
内容説明
ここから私たちは何を学ぶのか。史上最悪の原発事故から25年目の春。現地に入ったカメラによる待望の写真。2009年、人の姿のない街では、春の陽射しのもと、草木は伸び、花が咲いていた。
著者等紹介
中筋純[ナカスジジュン]
1966年、和歌山県生まれ。東京外国語大学中国語学科在学中にアジア、中米を放浪。卒業後出版社に勤務しつつ独学で写真技術を習得する。1996年に独立し中筋写真事務所設立。数々の雑誌をメインにアパレル広告、舞台広告、CDジャケット撮影など多岐にわたって活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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めしいらず
41
誰にも触れられぬ玩具、はがれた壁に貼られた四半世紀前の家族写真、廻らぬ観覧車、打ち捨てられた大量の防護マスク、無人の街に刻まれた時間。死んだ街と新たに芽吹く生命の対比が印象的。人間は、世界は、あの日からほんの少しも成長していない。起きているのは、日毎に薄れゆく記憶と、日毎に増し封印され続ける後遺症の爪痕。そう、本当に起こっていることを、ボクらはまだ知らない。2013/02/21
夜長月🌙新潮部
30
チェルノブイリ事故からもうすぐ30年。10万人もの人が土地を棄て廃墟となった町にも草木は生い茂り春は来ます。オオカミも住むようになった野生の王国では無機質な建物だけが悲劇を語り継ぎます。チェルノブイリの教訓が日本にも生かされますように。2015/10/16
喪中の雨巫女。
17
《図書館》なんだか、遠い国の話と思ってましたが。震災のあと、気になりだし、見る。事故の爪跡は残ってましたが、素敵な春の風景が印象的でした。2011/05/21
Romi@いつも心に太陽を!
16
このタイミングでの刊行。前作から受けた衝撃はないものの、文明の抜け殻と化した彼の地は確かに流れた年月を映して朽ちていた。どの廃墟でも思うのは、自然の力強さ。どんなに汚染され人の去った場所にもやがて緑が戻る。自ら浄化しようと、取り戻そうとしているかのよう。一見穏やかな春の訪れも、私たちの五感では感知すらできない恐ろしい代償の上にいまだあるのだ。2011/06/14
*kaoru
3
春のチェルノブイリ。廃墟チェルノブイリの秋冬の植物が枯れゆくもの悲しさとは違い、春夏の植物の力強い生命力を感じる。ここでも感じることは、ここの土地の本来の姿に戻ろうとしていること。自然の力強さを感じずにはいられませんでした。2012/07/17